故ギンズバーグ最高裁判事の空席を埋めるために、トランプ大統領は26日(土)に指名を行う見込みだ。指名しただけではダメで、上院議会で承認される必要がある。50票さえ確保できれば、同数票のためペンス副大統領による投票で決着がつく。ペンス副大統領はトランプ大統領の指名を支持するに決まっているので、共和党に必要なのは50票だ。マコネル上院院内総務はすぐさま動いて、少なくとも50票(おそらく51票)は確保できたことを発言している。あとは、スケジュールの問題だ。
マコネル上院院内総務は、10/12から上院司法委員会による公聴会を開始して10/29までには本会議における採決に持ち込む構えだ。 10月~11月の休会だけでなく、連邦議会選挙前の重要なタイミングを差し置いても最高裁判事指名を進める見込みだ。
Senate Majority Leader Mitch McConnell (R-Ky.) has not made any scheduling announcements since saying last week that he would work to confirm a potential pick from the White House, but a Senate aide told The Associated Press that confirmation hearings in the Senate Judiciary Committee could begin on Oct. 12, followed by a possible floor vote on Oct. 29.
https://thehill.com/homenews/senate/517698-senate-gop-aims-to-have-trump-scotus-pick-confirmed-on-oct-29-report#.X2vlidzML3o.twitter
トランプ大統領および共和党上院議員は、最高裁判事に共和党員を送り込んだ、という実績を成果にするようだ。トランプ大統領自身は、保守派の最高裁判事を指名することを、公約にしていたので3名も送り込めたとならば、そりゃ実績になるだろう。例え、選挙戦で敗退したとしても、3名も送り込めたことは数十年以来でレーガン大統領以来となる。尚、この記事によると、最高判事指名人数は、アイゼンハワー大統領(任期8年)が最多で5人,トルーマン大統領(7年283日),ニクソン大統領(5年201日),レーガン大統領(8年)がそれぞれ4人となる。ギンズバーグと同例の高齢者(82歳!)であるリベラルのスティーブン・ブライヤー最高裁判事の指名さえ狙っている気がする。これこそ神のご加護なのか、共和党によって指名された最高裁判事の方が多いから、今の米国が出来上がっているという見方もできなくもない。
Campaign advisers also say they expect the Supreme Court pick could drive up turnout among evangelical and Catholic supporters, and the president has told advisers he believes that Democrats will overreach in the fight — giving him a target to mock.
https://www.washingtonpost.com/politics/republicans-trump-ginsburg-senate/2020/09/23/02e344ac-fdc6-11ea-9ceb-061d646d9c67_story.html
トランプ・キャンペーンアドバイザーは、最高裁判事指名は福音派とカトリック支持者の巻き返しにつながると考えている。ただ、一方で、スウィング州の共和党議員で再選を抱えている議員にとっては、中絶反対派の最高裁判事が指名されると厄介になる。スゥイング州ということは、リベラル派もそれなりに多いためスゥイング州での選挙で中絶反対は不利に働くからだ。
連邦議会選挙直前の上院議員議席予測
では、連邦議会選挙についてはどうか。もう下院は民主党が多数党でほぼ決まっているのでスキップする。問題は、下院に比べると強い権限をもつ上院議員だ。
2020年、再選挙となる上院議員は共和党は23名、民主党+無所属は47名。
最近の予測でどうかというと、共和党がギリギリ51議席確保できるかどうかだ。再選で敗退しそうなのが、Susan Collins共和党議員(メイン州)、Doug Jones民主党議員(アラバマ州)は敗退して対抗馬に奪われるので、ほぼ決定。
この段階で民主党+無所属は47議席。共和党は53議席。
問題は、アリゾナ州、コロラド州、モンタナ州、ノースカロライナ州の共和党議員が再選できるかどうか。全員2期目への挑戦なんで支持基盤が弱いんだろうな。最新調査でいくと、アリゾナ州、ノースカロライナ州はは民主党議員になりそうで、特にアリゾナ州は議席を失う可能性が高い。一方で、コロラド州はこの調査では負け予測だけど、なんとか議席しそうな話の方が多い。また、モンタナ州もギリギリで確保できそう。となると、共和党51議席、民主党49議席か、共和党と、民主党両方が50議席になる見込みが濃厚。
では、これらの州はスゥイング州かというと、アリゾナ州、ノースカロライナ州はスゥイング州となるので選挙は不利に働くはずだ。一方で、モンタナ州は赤い州だし田舎州なので最高裁判事は有利に働くだろう。問題はコロラド州だろうが、そもそもここは民主党州で州知事も民主党だ。むしろ、よくぞ上院議会で共和党が議席を確保できたといいたい。上院2議席のうち、1議席は民主党員だし。
となると、いくら福音派とカトリック層を掘り起こせたからといって、トスアップの議席においてはあまり意味がなさそうだ。もはや上院議席は50vs50が濃厚だとすると、上院議長である副大統領がどちらの党になるかだろう。
強力な行政権限をもつため大統領選が重要なのは言うまでもないが、上院議会を左右することになるので、なおさら重要になりそうだ。