トランプ政権と共和党は選挙目的で中国叩きはしなそうだ

5月20日に共和党パット・トゥーミー上院議員と民主党ヴァン・ホー連議員によって提出された法案。先週、上院で全会一致採決をとろうと計画していた直前に、トランプ政権と国務省からの要請が入って採決中止になったとPOLITICOでは報じた。
クレイマー議員は、その要請を受け入れ全会一致採決を中止したとあり、テクニカルな修正をまずは進めたいとしている。ただ、再度この法案が阻止されるかどうかはまだわからない。

トランプ大統領は、両院で可決後から数週間を経て6/17(水)にウイグル人権法案にやっと署名した。ただし、5/27に下院で可決して大統領に送付されたのは6/8であった。大統領に送付されてから議会開会中であれば10日以内に署名しないと自動的に成立するのでギリギリ滑り込みセーフといっていいだろう。
しかし、中国との貿易取引があるのでウイグル人弾圧に関与した人物への制裁はHold Offだとしている。

And later in the week, Trump told Axios that he held off on imposing sanctions related to the internment of Uighurs in order to salvage his trade deal with Beijing.

https://www.politico.com/news/2020/06/24/kevin-cramer-blocks-china-sanctions-bill-338246

どうやらトランプ政権としては、中国叩きをしたくないと考えているのだろう。
ウイグル人権法案で実際に制裁に踏み込んでいない点や、香港国家安全法案に対して要請をして採決中止したといった行動をみていれば明らかだろう。

WSJでは、トランプ大統領再選の最善策は中国叩きというコラム記事が掲載されていたり、ロイター記事にも、背景には、中国に対する強硬姿勢を選対陣営が再選戦略の柱の1つに据えているという基本的な事情とも書かれているが、どうやらトランプ政権の行動をみていると違うことがはっきりとわかってきた。


共和党は、トランプ大統領再選に向けた新しいプランを再度練り直している。もはや上院共和党は、過半数を維持できないとあきらめている気もする。
ここへきて、上院院内総務のミッチ・マコネル上院議員は、女性と大卒などの高等教育を受けた人達の票が、民主党に流れたことが2018年に共和党下院で負けたことが原因だとしているようだ。まさにこの層を取り戻さなくてはいけないと4月に発言したようだが、時すでに遅しではないだろうか。

もっというと、中国叩きの話も吹っ飛んでしまったようだ。
共和党はアフリカ系アメリカ人の票をとれないのは昔からだし、そこにマーケティング予算を投下したところで動かないだろう。トランプ大統領の発言は明らかに矛盾している部分があるので、まともな思考をしている人ほど受け付けないだろう。女性は生理的にトランプ大統領を嫌っている人が多そうだ。

共和党は、唯一の武器である中国叩きを止めてしまうのだろう。中国叩きこそ、唯一、アメリカ人の意識を統一できて票がとれたかもしれないのに。

Senate Majority Leader Mitch McConnell (R-Ky.) identified women and college-educated voters early in the election cycle as key to preserving the Senate GOP majority. He said last year that Republicans lost the House in the 2018 midterms because “we got crushed in the suburbs.”
“We lost college graduates and women in the suburbs, which led in the House to losses in suburban Kansas City; Oklahoma City; Houston; Dallas; Atlanta; Charleston, S.C.,” the GOP leader told reporters last April. “We’re determined not to lose women, certainly not by 19 points, and college graduates in our Senate races. And I don’t think we will.”

https://thehill.com/homenews/senate/504440-gop-trump-needs-a-new-plan

尚、WSJで、中国政府と結びつきがある人物がトランプ大統領と共和党全国委員会(RNC) の再選キャンペーンに資金提供したなんてことがリリースされてしまった。これもバイデン叩きをしにくくなる一つの要素となるだろう。もっとも、「中国政府と結びつきなんてない」と言い張るだろうが。

ドナルド・トランプ氏が米大統領に就任して間もないころ、中国政府と結び付きのある人々が、トランプ氏の再選キャンペーンに何十万ドルもの資金を提供した。その狙いは、新大統領に近づき、可能ならば大統領に影響を与えることだった。

https://jp.wsj.com/articles/SB10052181624206244368104586465413540217194

振返ると、共和党はフィリバスターを防止できる60議席を確保できたのは1907年のルーズベルト大統領時代までさかのぼらないとない。この70年で過半数とれた期間は、35期中、11回(2年後と)しかないのだ。オバマ時代の2009年選挙で大敗した屈辱をもう一度味わうことになるのかもしれない。

参照元:
https://www.politico.com/news/2020/06/24/kevin-cramer-blocks-china-sanctions-bill-338246
https://www.congress.gov/bill/116th-congress/senate-bill/3744/actions
https://thehill.com/homenews/senate/504440-gop-trump-needs-a-new-plan