レント・クライシスは2020年夏からか

3~4月に配布された1人1,200ドルの現金支援に加えて、失業者には州の失業給付に加えて、600ドル/1weekを連邦政府が給付している。連邦政府からの財政支援がうまく機能しているようで、NMHC Rent Payment Trackerによると5/20までで 家賃支払い率は 90.8%になり、大規模な家賃滞納率には至っていない。
連邦政府による 600ドル/1week失業給付は2020年7月末で打ち切られる。
家賃の滞納がスタートするのは8月からになるかもしれない。

失業率が高い州で、家賃滞納モラトリアム解除が来月からスタート

NY州では、失業しているか、COVIT-19が原因にのみ絞って家賃滞納があっても8/20まで立ち退きされない条例を改正した。この改正で、商業用施設は含まれていないし、居住用も理由が認められない限り、モラトリアム期間が6/20に終了予定となり、それ以降は立ち退き命令を出すことができる。しかし、裁判がすぐに行われるかというと、そうでもないことが報じられている。
また、ニューヨーク州はモラトリアム期間が終了してからの猶予期間というのは提示されていないのでそのあたりも懸念点だ。コネチカット州では60日間の猶予期間が提示されている。
カリフォルニア州では、強制退去禁止は5/31以降解禁するが、今後1年間に家賃を支払うとして支払い猶予期間があるようだ。
全米50州の中で、賃料支払いの猶予が与えられていて法的に立ち退きを禁止しているのは、ワシントンポストによると、4月当初時点でたった14州だった。コロンビア特別区を含めて36州では、猶予などなく立ち退き申請ができる状況なのだ。 CNBCによると、 ワイオミング州、サウスダコタ州、ミズーリ州、アイダホ州については引き続き立ち退き請求が行われているとのことだ。これらの州の失業率は、10%前後、あるいはそれ以下で20%を超えるネヴァダ州やミシガン州よりはずっと低くおさえられている。

各州の4月失業率は、以下の通りだ。尚、5月失業率は6/5(金)発表で、19.8%が予測されている。米国内でも州内で大きな差があるので、州別にチェックした方がよさそうだ。

https://www.bls.gov/web/laus/laumstrk.htm

そういえば、シラー米住宅価格指数は今晩発表されるが、 主要10都市及び主要20都市の四半期毎に先々月までの四半期分が発表される。 主要10都市は、ボストン、シカゴ、デンバー、ラスベガス、ロサンゼルス、マイアミ、ニューヨーク、サンディエゴ、サンフランシスコ、ワシントン。
先々月文なので、3月となりまだ影響がでてくることはないだろうが、8月、11月発表分には影響がでてくるだろう。

家賃滞納は、家主の収入と地方政府財源に打撃

米国の家族向け賃貸住宅の9割は、小規模ビジネスだ。 不動産所有者は、家賃を収入源として、住宅ローンの支払い、賃貸物件の維持管理費、固定資産税の支払いをしている。家賃が支払われないと、地方政府の財源が枯渇することになる。

While landlords should be encouraged to reduce payments or implement repayment plans, canceling rent isn’t a viable option for many of them. The prototypical rental unit might be inside a high-rise apartment building owned by a real estate giant, but in fact the overwhelming majority of rental properties in this country are single-unit homes owned by mom-and-pop landlords. These property owners rely on rent to pay their own mortgages, to finance repairs and upkeep of rental properties, and to pay property taxes.

https://www.politico.com/news/agenda/2020/05/08/theres-a-rental-crisis-coming-heres-how-to-avoid-it-244598

商業用施設のレント・クライシス

WSJによると、スターバックス、Chipotle Mexican Grill Inc.、Shake Shack Inc. は、リースの再交渉または繰延賃料の支払いを求めて不動産所有者と協議に入っているようだ。経済再開といっても、家賃料は変わらないのに、ソーシャル・ディスタンスを実施するとなると、 今までの約4分の1から半分に制限されているため、経費削減やビジネスモデル変更を迫られているのだ。

いくつかかのショッピングセンターの所有者は、テナント側を相手どって訴訟を起こしている。不可抗力とはみなされず、支払い義務があると主張している。

家主は、 一時的な家賃免除や割引などは、不動産評価額を減少させて、所有者のローン取得を減少させる可能性が多分にあるので家賃割引などはしたがらない。

Some lawyers now say it’s inevitable the courts will have to decide, and some early test cases are under way. Shopping center owner Palm Springs Mile Associates sued retail chain Ross Dress for Less Inc. over unpaid rent for three stores in Hialeah and Lake Worth, Fla.

https://www.wsj.com/articles/landlords-fume-as-starbucks-other-chains-seek-extended-rent-cuts-11589889601?mod=e2tw

商業施設における家賃の30日延滞率は9月末までには8.25~8.75%の延滞率になるだろうとフィッチは予測している。
500億ドル近くそんざいする、保証なしのCMBSの延滞率がどうなるかだろう。

The majority of conduit remittances for May have now been reported and 30-day loan delinquencies increased exponentially, rising 12 times as much as April. This is consistent with Fitch’s expectation the delinquency rate will increase over the next few months and peak between 8.25% and 8.75% by the end of third quarter 2020.

https://www.fitchratings.com/research/structured-finance/spike-in-us-cmbs-delinquencies-special-servicing-in-may-due-to-coronavirus-20-05-2020