新型コロナウイルス対策法案 第五弾の進捗/共和党の中国強硬姿勢

共和党が急に新型コロナウイルス対策法案 第五弾に対して強気なメッセージを発信してきた。第五弾予算に乗り気なのは、民主党であるが、何か歴史的な経済指標がでてきたり、ロビー活動がない限り、共和党が迅速に第五弾を進めることはなさそうだ。
PPP予算が1週間経過してまだ半分しか申請がないし、共和党牙城の州が経済再開しはじめたこともあるのだろうか。

Lawmakers are set to start returning to Washington on Monday nowhere near an agreement on the next coronavirus relief bill. 
Instead, they are facing a quick pile up of potential obstacles to a deal as Senate Majority Leader Mitch McConnell (R-Ky.) and House Speaker Nancy Pelosi (D-Calif.) offer “red lines” and competing priorities for the next piece of legislation. 

https://thehill.com/homenews/senate/495760-obstacles-mount-for-deal-on-next-coronavirus-bill

テッド・クルーズ上院議員なんか、もう3兆ドルも連邦政府をつかったんだ!これ以上、税金を投入すべきでないとしている。彼の支持団体の一つは、小さな政府を望むティー・パーティー・パトリオットだから、彼ら向けの発言ということもあるでしょうが。

米国の経済再開は、州によって異なっている。東海岸、西海岸、中西部工業地帯は再開時期を同じにする動きをしている。それでも中西部工業地帯はバラバラだが…。南部州は4月末に経済再開している。いち早く経済再開させたうちの一つであるジョージア州では、1週間経過しても、元に戻ったとは言い難い状況である。経済再開しても、ソーシャル・ディスタンスを守ることは依然として残っているし、消費者心理が戻らず、なかなか厳しい状況が続く。早急なV字回復を期待していた場合は、どう考えても無理があるだろう。

https://www.dailymail.co.uk/news/article-8269455/US-states-reopening-Maine-Northeastern-state-ease-COVID-19-restrictions.html

トランプ政権の中国強硬姿勢

ポンペオ国務長官、トランプ大統領がこぞって中国強硬姿勢を示したことで5/4(月)の米国指数先物は売られた。米中摩擦が再燃したと市場は考えたからだ。さらに、トランプ大統領は、第一弾合意とおり、中国は米国産農産物、工業製品、原油を買うはずだ。さもなければ、関税をはじめとした制裁をすると脅している。

ポンペオ米国務長官は3日、ABCの報道番組で新型コロナウイルスの発生源について中国湖北省武漢市の研究所であることを示す「膨大な証拠」があると指摘した。だが、その主張の裏付けは示さなかった。
トランプ大統領らは、ウイルスの起源に関する回答を中国に求めるなど対中批判を強めている。大統領は3日夜のFOXニュースのイベントでも中国に言及。「彼らは非常におぞましいミスをしたと思う。隠そうとした」と述べ、これを裏付ける情報が近く示されると示唆した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-03/Q9S0D3DWLU6C01

Buy or die: Trump was also ambiguous when asked if he might impose additional tariffs on China as punishment for its handling of the coronavirus. However, he did stress the importance of China fulfilling its commitment to buy more U.S. farm and manufacturing goods and energy products and services

https://www.politico.com/newsletters/morning-trade/2020/05/04/trump-threatens-to-terminate-china-deal-787321

米国、というより世界中でマスクをつけている、つけていないに関わらず、東アジア人にみえる人へのヘイトが増加している。最新のピュー・リサーチ・センターの示すデータでは、中国へのネガティブ反応がかつてないほど上昇している。中国が世界に脅威を与えていると考える人も6割に達した。新型コロナウイルス対策について初動で失敗し、脅威についても甘く見積もっていたトランプ政権は、過去最高の失業率をたたき出すことになるだろう。雇用のトランプ政権だったのに、唯一であり決定的だったアピールポイントが消え去ってしまった。今となっては、中国強硬姿勢で戦うしかないのだ。
幸か不幸か、バイデン元副大統領は、外交委員会所属で、いわば伝統的な外交を重んじている。それではダメなのであって、だから今のようになってしまったと主張すれば多くの人が納得するだろう。特に、スウィングボ―タ―にとっては、トランプ政権を好まないが、これ以上、中国を野放しにできないという危機感からやむを得ず、トランプ大統領に投票することがじゅうぶんに考えられる。

https://www.pewresearch.org/global/2020/04/21/u-s-views-of-china-increasingly-negative-amid-coronavirus-outbreak/

しかしながら、トランプ政権および共和党は、米国史上でかつてないほど株価を重んじる政権であり、株価を重んじる共和党になってしまった。
米中摩擦が激化すれば、株価は下落するだろう。二大経済大国がディカップリングするだけでなく、中国マネーを大量に引き寄せていた米国はあらゆるところで痛みを伴うだろうし、米国債を大量に引き受けていた中国がどう出てくるかわからなくなるのだ。

トランプ大統領は、中国強硬姿勢を示すことで大統領選挙に勝とうとするならば、自分のもう一つの成果であった株価を犠牲にするかもしれない。
もし、犠牲にしないならば、結局のところ、中国強硬で制裁もできずになあなあな4年間を迎えてしまうかもしれない。