ついにWTI原油価格は、2002年以来の価格に突入して1バレル21ドルまで落ち込みました。1バレル20ドルを割り込むのは時間の問題でしょう。
原油価格戦争が勃発して、米国エネルギー業界が敗者になることは明らかなのですが、最初の犠牲者はカナダのエネルギー企業になりそうとブルームバーグは報じています。カナダのオイルサンドは $7.47/1バレルまで下落して、カナダ最大手 Canadian Natural Resources Ltd の生産コスト10ドル/1バレルを下回っています。カナダの輸出10％が原油を占めていて、5番目に大きい輸出品なので、打撃は大きいでしょう。
まずは、ロシアとサウジ、OPEC加盟国の最近の動向
まずは、沈黙していたロシアの発言。
ロシアの報道官は、原油価格が低すぎることに認識を示し、原油価格を上昇させたい意向を示しました。しかしながら、OPECとの話し合いは予定されていません。ロシアは交渉してもいいよと、以前から発言しているので、もはやサウジとUAEという王族国家の一方的な原油増産に陥っているということでしょう。
一方で、OPEC加盟国でイラクも苦しんでいて、イラクは協議を持ち掛けていますが、サウジとUAEは聞き入れる見込みはないようです。イラクからの減産協議に対して、ベネズエラ、メキシコはもちろんのこと、米国上院議員でさえも好意的に捉えているようです！原油価格戦争はすぐに終わりそうにないですね。
On Wednesday, Russian President Putin’s Press Secretary Dmitry Peskov stated that Russia would sure like to see oil prices improve, but that his country has not yet reached out to OPEC to discuss measures.
https://oilprice.com/Energy/Energy-General/Russia-Needs-Higher-Prices-But-Wont-Give-An-Inch.html
Bloomberg quoted Peskov as saying that “Of course it’s a low price, we would like to see it higher,” adding “We’re very closely monitoring the situation on global oil markets, analyzing the situation, trying to make forecasts for the near- and mid-term future,”
（中略）
At this moment, it seems unlikely that Saudi Arabia and the UAE will change course and listen to pleas from Iraq, Venezuela, Mexico and even U.S. senators. The oil war is unlikely to end soon, and as I mentioned yesterday, national prestige, honor and political power are driving this geopolitical game of thrones in which no party wants to hand an easy victory to the other.
原油価格暴落で新興国の通貨安も起きている
先週、このような記事を書きました。米エネルギー企業の債務は、もういろんな記事で書かれ始めたのでそれを適宜読んでください。
メキシコ、ロシア、コロンビアの通貨は、2020年でドルに対して20％も下落しました。既に高いインフレが起こっていて米国制裁で更に苦境に陥っているイランの通貨リアルは去年10月から30％も通貨安になっています。
アフリカのレンティア産油国家であるナイジェリアは昨年6月から外貨準備を20％も削ってしのいでいるようです。
It might only be a matter of time before it has to give up, however. Its foreign reserves have fallen by 20% since July to $36 billion and the naira is the most overvalued of the major oil currencies, according to the International Monetary Fund’s REER calculations.
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-03-17/here-s-how-the-oil-crash-is-hitting-emerging-market-currencies
また、原油輸入国家もまた、世界的なリスクオフで通貨安、投資引き上げで苦しんでいるようで世界的にドル一極集中が起きています。ドルインデックスが100ドル超えていることでもわかりますよね。
米国の原油在庫は着々と積みあがっている。
新型コロナウイルス騒ぎであまりニュースになっていないですが、昨日の米国は原油在庫量の発表がありました。1月の原油在庫減少とは変わり、原油在庫が積みあがっています。すでに過剰気味だった米国内原油在庫は中国に輸出するはずだったのに、それも中断しているようですし、世界的な航空需要激減で更に積みあがるでしょう。
米国エネルギー企業がいつまでもつかは、時間の問題になるでしょう。
