トランプ大統領が給与減税を議会と交渉するようだが、減税額が足りないし、原油価格には外交が必要だ。

トランプ大統領は、給与税減税について上院と協議するとした。そもそも、減税は、トランプ政策の票取り政策の一つであった。1月の段階で数カ月以内に発表するとトランプ大統領は発言していたはずだ。
だいたい、減税できるかどうかは、議会次第ですし、ねじれ議会なんだからすんなりいくはずないってば。

トランプ米大統領は9日、政権が給与税減税の可能性について上院と協議することを明らかにした。新型コロナウイルス感染拡大で混乱に見舞われた米国経済に「非常に大きな救済」を求めるとしている。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-09/Q6Y7BEDWX2PU01?srnd=cojp-v2

莫大な減税だと宣言していたが、たった1%の減税と見積もられているようで、550億ドル~750億ドルと考えられているらしい。
足りないですよ。
リーマンショックの時に、ファニーメイ・フレディマックの救済に2000億ドル、住宅ローン支払い猶予なども実施しているし、景気刺激策で2000億ドルつかってますからね。オバマ政権とブッシュ政権が何をしてリーマンショックを沈めたかを勉強し直したらどうでしょうか、トランプ政権は。
下院議員も、景気刺激策に対しては、議論をしているようです。

Trump’s comments made clear that the White House is now considering a huge and expensive government response. Just a one percentage point reduction in the payroll tax would cut between $55 billion and $75 billion in revenue, according to a recent projection from the Committee for a Responsible Federal Budget.

https://www.washingtonpost.com/business/2020/03/09/trump-coronavirus-paid-sick-leave/

トランプ政権は、バカの一つ覚えのように、減税策を出していますが、コロナ感染拡大による経済後退と、原油価格下落に伴う経済後退が同時にきています。
前者は、減税によって効き目があるかもしれませんが、後者は減税では無理だと思います。
原油価格下落を止めるには、外交が必要です。今すぐ、ロシアとサウジアラビアと交渉すべきなのです。ロシアとサウジアラビア率いるOPECのケンカによって、一番打撃を受けるのは、実は米国エネルギー企業です。米国での70万人の雇用と、S&P500の11%(エネルギー企業のウェイトは11%)がかかっているのです。

ロシアは、米国への怒りに怒りがたまっています。
一つ目は、ロシア国営石油大手のロスネフチに対しての制裁です。2月19日から制裁していたようですが、気づきませんでした…

米国はロシア国営石油大手ロスネフチの傘下部門に制裁を科した。ベネズエラのマドゥロ政権ならびに国営ベネズエラ石油(PDVSA)と関係を維持していることが理由。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-02-18/Q5WTA7DWX2Q201

もう一つは、欧州への石油供給で巨大な富を得るはずだったノルドストリーム2に対する制裁です。工事も停止になっているままかな。
工事に参加している欧州企業は、しぶしぶ制裁にしたがったはずです。

 ロシア産天然ガスをドイツへ直送する海底パイプライン「ノルドストリーム2」の敷設事業に参加する企業に制裁を科す法案がトランプ米大統領の署名で2019年12月20日成立した

https://jp.reuters.com/article/usa-russia-nord-stream-idJPL4N28W0T8

ここからは、私の予測ですが、この記事(推奨します)を読む限りは、そもそもロシアは米国への不満が募りに募っていて、何か反撃するキッカケを探していたのだと感じます。OPECとの協調に参加しない方がいいというのは、ロスネフチCEOをはじめとして、既に意見にあったようですし、時期をうかがっていたのですね。

記事でも書かれていますが、数カ月以内にロシアが降参するとは考えにくくなってきました。米国は、制裁を解かなきゃいけないタイミングかもしれません。
しかし、現在の上院外交委員会をみている限り、やたらとロシア嫌いが多い印象があります。特に、新型コロナウイルスに感染した疑いがあり隔離されているテキサス州選出テッド・クルーズ議員とか。ロシアへの制裁をゆるめるというのは難航するでしょう。難航している間に、米国エネルギー企業は炎上してCLOやらレバレッジドローンに影響を与えるはずです。