インドと米国の貿易摩擦

米国と中国の貿易摩擦がずっとフォーカスされていたが、トランプ大統領が就任してから、インドと米国も貿易摩擦が続いている。米中貿易合意後には、ピーター・ナヴァロが次の標的はインドだと2019年12月に警告していた。

最初の発端は、2019年5月に大統領布告で 一般特恵関税制度(GSP) の対象から除外したことだ。この大統領布告を受けて、インド政府は6月15日、米国から輸入する28品目に対する輸入関税の引き上げを発表した。

トランプ大統領は5月31日、インドを一般特恵関税制度(GSP)の対象から除外する大統領布告を発表した。本措置は6月5日から適用される。GSPは開発途上国・地域の経済発展を促すことを目的に、これらの国からの米国への輸入にかかる関税を一部免除する制度。
2018年のインドからのGSPを利用した輸入額は、CIFベースで前年比10.3%増の約65億8,600万ドルで、GSP対象国の中で最も大きく、米国の対インド輸入額の11.7%を占めている。品目別では、自動車部品、核酸およびその塩、ステンレススチール製食卓用品などでの利用額が大きい。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/06/3e64e3544d428103.html

インド商工省商務局の貿易統計によると、2018年度の米国からの輸入額は全体の約7%を占める355億ドルで、中国に次ぐ2位。他方、米国への輸出額は524億ドルで輸出額全体の約16%を占め、米国はインドにとって最大の輸出相手国だ。貿易赤字を抱えるインドだが、米国との貿易では米国側が約169億ドルの赤字となっている。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/06/c9b325b4f5525329.html

米国にとってインドからの輸入は、543憶ドル(2018年)で中国の10分の1だ。日本の半分以下の輸入であるのだから、そこを標的にしても意味がない気がするが、米国にとっては輸入よりも輸出が上回わる貿易赤字なのでトランプ政権にとっては、貿易赤字を解消させたいのだろう。

https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/gtir/2019/21.pdf

そんな中、2020年、2月24日にトランプ大統領就任後初のインド訪問となった。
30億ドル相当って少なすぎるでしょ。
中国へは農産物を年間400~500億ドル約束させているんでしょ。ちょっと規模が小さい交渉だよなぁ。

30億ドル相当の軍用ヘリコプターの提供について両国が25日に合意に署名すると明らかにした。米国がインドにとって主要な防衛パートナーになるべきとの考えも示した。

https://jp.reuters.com/article/india-usa-trump-defence-idJPKCN20I11I

それにしても、このインド側の演出がすごいですね。これもトランプ大統領へのおもてなしか。

24日の演説会場は10万人を収容する世界最大級のスタジアムで、沿道でも10万人超がトランプ氏を出迎えた。多くの聴衆を集めた演説会を好むトランプ氏だが、米国外で10万人規模の集会を開くのは例がない。 (中略) アーメダバード市での聴衆や観衆の多くは、米国との関係を国内外にアピールしたいモディ氏が、インド人民党(BJP)などを通じて大量動員したものだ

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55998730U0A220C2FF8000/

一方で、ニューデリでは反イスラム法へのデモが未だに続いています。止む気配が一向にないので、金融政策で失敗しているインド政府はなかなか苦しい立場におかれているでしょう。

A policeman was killed and dozens of people injured amid clashes in New Delhi on Monday as thousands demonstrating for and against a new citizenship law rioted for several hours before U.S. President Donald Trump’s maiden visit to the city.

https://www.reuters.com/article/us-india-citizenship-protests/one-killed-dozens-injured-in-delhi-clashes-as-trump-visits-idUSKCN20I0XE