米国エネルギー企業とレバレッジドローン

本日は日本市場は休場。BOJは昨日、買入なし。
【日経平均株価】 23,685.98 ▼0.60% -142.00 [02/10]
TOPIX 1,719.64▼0.72%
マザーズ 840.90▼1.06%
【ドル建て日経平均】215.78 ▼0.49% -1.07 [15:00]
【ドル円】 109.80 +0.02 △0.02% [15:16]
東証一部出来高 1,161,460,000株 15:00


【上海総合指数】 2,890.49 △0.00%
ハンセン指数     27,241.34 ▼0.59%
CSI 300 Consumer Staples Index 19772.30 ▼0.48%
MSCI Emerging Markets 1,088.80↑  [2/11] 
( 52 WEEK RANGE 956.59 – 1,150.91 ) 
MSCI Intl Emerging Market Currency      1,643.60 ↓  [2/7] 
( 52 WEEK RANGE 1,587.38 – 1,673.26 ) 
バルチック指数    415.00   ▼3.71% [2/7] 52週最安値更新中
( 52 WEEK RANGE    415.00       – 2,518.00 )  2016年2/5 297.0が直近最安値

昨日は、中国のPPIとCPIが発表されて予想外のいい結果で米先物株、日本株も反発して下げ幅を縮小していた。あまりにいい数字で1月分が全部入っているのか疑いたくなったが、生活必需品の買いだめとロイターには書かれている。だとすると、2月がどれだけ下落するかだ。相変わらず、豚肉価格が上昇して食品価格が上昇している。賃金が上昇しないと厳しいよなぁ。

中国国家統計局が発表した1月の生産者物価指数(PPI)は、前年比0.1%上昇し、2019年5月以降で初めて上昇した。 1月の消費者物価指数(CPI)は、前年比5.4%上昇し、2011年11月以来の大幅な伸びとなった。ウイルス流行で政府が移動を制限しており、人々は生活必需品を買いだめしている。 (中略)
国家統計局はCPIの上昇率加速について、春節(旧正月)休暇、ウイルス流行、ベース効果を挙げた。1月の食品価格は前年比20.6%上昇、豚肉価格は116%上昇だった。

https://jp.reuters.com/article/china-ppi-cpi-idJPKBN20404Z

S&P、ナスダックは過去最高値。 個別銘柄でみても、AMZN、MS、NVDAが52週最高値更新。最高値更新している一方で、 Fear & Greed Index はほぼ動いていないし、米債券利回りは上昇していない。

【NYダウ】 29,276.82 △0.60% +174.31 [02/10]
(52週最高値 29,379.77  52週最安値 23,765.24  ) 
NASDAQ   9,628.39 △1.13% +
(52週最高値   9,572.15  52週最安値6190.17 )
S&P500  3,352.09 △0.73% +
(52週最高値 3,352.09   52週最安値2346.58 ) 
ラッセル2000種指数 1,667.669 △0.66% +
(52週最高値  1,706.175   52週最安値 1,266.925 )
【VIX恐怖指数】    15.04
Fear & Greed Index  57↑(Greed) 
【WTI原油】      50.06  ↓ 10:07JST
【NY金先物】   1,574.15 ↑ 10:07JST
ドルインデックス:  98.76 ↑ 10:07JST
米国30年債利回り:2.041↓  10:08JST
米国10年債利回り: 1.574↓  10:08JST
米国 2年債利回り:1.403→   10:08JST
米国3か月債利回り:1.56→   10:08JST
ブルームバーグ商品指数トータルリターン 158.0585 ▼0.73%
( 52 WEEK RANGE   157.4103 – 174.8420 ) 2016年1/15 148が直近最安値
NASDAQ OMX China Technology (CHXN9000) 2,091.49 △0.60%
(最高値 2020年1月17日  2,108.3 )
NYFANG:IND  3,646.167 △1.23%
( 52 WEEK RANGE  2,065.031 –   3,730.915 )
S&P/LSTA U.S. Leveraged Loan 100 2,274.70▼0.07% [2/7]
(52 WEEK RANGE  2,049.76 –   2,287.33 )
BofAML US High Yield Master II Effective Yield 5.21↓[2/7]
BofAML US Corporate BBB Effective Yield  2.94 ↓ [2/7]
BofAML US High Yield CCC or Below Effective Yield 11.32↓ [2/7]
米取引所の合算出来高は66億株。直近20営業日の平均は76.6億株。
AAPL 321.55 △0.47% (52週最高値  327.85 52週最安値153.66 )
AMZN 2133.91△2.63% (52週最高値 2135.60 52週最安値1566.76 )
GOOG 1508.68△1.99% (52週最高値 1509.50 52週最安値1025.00 )
MS   188.70△2.62% (52週最高値 188.84 52週最安値102.17 )
NVDA  262.97△4.52%( 52週最高値 263.00 52週最安値131.00 )
FB   213.06△0.34% (52週最高値 224.20 52週最安値143.43 )
NFLX  371.07△1.17% (52週最高値 385.99 52週最安値252.28 )
TSLA  771.28△3.10% (52週最高値 968.99 52週最安値176.99 )
BABA  215.77▲0.35% ( 52週最高値 231.14 52週最安値147.95)
※52週最高値・52最安値更新:2020/02/10時点

コロナウイルスに関する状況整理。

◆中国内での工場稼働状況と、日本国内の工場稼働
・キャタピラーは 地元政府の許可を得て大半の工場で10日に操業を再開GMも15日に操業再開とリリース。一方で、アップルのサプライチェーンに深く関わるフォックスコンは10日操業再開としていたが、再び延期になった。
・上海、北京の大都市では、未だに小売店舗がほとんど閉まったまま。アップルは2月15日少なくともまでは店舗閉鎖と再延期。
・日本でも、部品が届かなくて日産の九州工場が一時停止

◆中国国内の移動( 1月10日-2月8日)
春節期間の旅行者数は40%減。飛行機や電車を利用した旅行者数はいずれも前年同期から約33%減った。
6~7割は今まで通り移動している。1月22日頃から徐々に封鎖、営業停止をはじめているので封鎖してから3週間経過している。既に感染していて重篤な人もいるので死亡者数は増えていくかもしれないが、感染者数の増加率は縮小していく可能性が高いと考えられる。工場再開は、消毒を完了させて、地元政府の許可が必要らしいので、申請数に対して許可をさばけるかどうか。なぜか米国企業の操業再開が早い気がするが、米国政府間で何か協議したからなのだろうか。

◆実体経済に関連する指標
・バルチック指数は、52週最安値更新。直近最安値の2016年2/5は297.0なので、そこまではまだもう一段の下落が必要。
・ ブルームバーグ商品指数トータルリターンは 52週最安値付近。 2016年1/15 148が直近最安値だが、こちらももう一段の下落が必要。
・原油は50ドル前後で推移して回復していない。
・天然ガスの価格下落が止まらない。2016年2月の1.66まであともう少し。
・銅、石炭先物は先週よりは反発したが、回復までは遠い。

◆金融経済に関連する指標
・人民銀行は2/3、4日の2日間で計1兆7000億元を供給
・ 2/10にPBOC injects 200 bn yuan liquidity via 14-day reverse repo and 700 bn yuan via 7-day reverse repo, to offset maturity of 900 bn yuan reverse repo today. 2/11は、PBOC injects 100 bn yuan liquidity via 7-day reverse repo on Tue. Total 380 bn yuan reverse repo comes due today. So, 280 bn yuan liquidity is drained from the market.
・ 300を超える中国企業が新型コロナウイルスの影響を和らげるため、少なくとも574億元(82億ドル)の銀行融資を申請している
・1月時点の外貨準備高は減少していないので、まだ余裕がありそう。
#Alibaba said its affiliate Ant Financial’s WeBank would offer 20 billion yuan in loans to companies in China in light of the #coronavirus outbreak, with preferential terms for Hubei firms. →アント・ファイナンシャル参加の WeBank (ネット銀行)に20億元の融資申し出がある。
・中国の国債利回りはどの年限でも下落。誰が買うんだと思うが、JPモルガンが指数に組み入れたりしている。

企業の資金繰りが厳しくなっているのは間違いない。とはいえ、リバースレポ7日ものは2.4%、14日ものは2.55%で供給しているくらいだから、まだ利下げの余力がありそうな段階だし、2015~2016年チャイナショックと異なり、外貨準備高が減っていない。外貨準備高を大幅に減らさずに、乗り切れば持ちこたえるのだろう。
企業借入じたいが増えているようだが、それ自体は問題ないのだ。問題は、金利を含めて返済できるかだ。借り入れできるうちは、金利返済のために借り入れを繰り返していれば延命する。そうなってくると、個人債務の方が気がかりになり、物価に対して賃金が上昇すれば債務を支払える。賃金上昇率が肝になるだろう。
尚、個人債務の約6割は住宅ローンだが、住宅価格が下落した時は転売しても負債を背負うことになる。ただし、賃金が上昇していれば負債を背負っても返済見込みはたつだろう。


エネルギー資源価格の下落が気になっている。
先日、トランプ減税がいかに企業利益をもたらしかという記事を掲載したが、実はエネルギー企業と資源企業は減税の恩恵を受けていなくて、むしろ減税前よりも法人税が上がっているのだ。この2つのセクターは減税の恩恵を受けていないということを理解しておく必要がある。しかも、エネルギー企業は最高課税を強いられていて35%を超えている。

参照元: https://www.wsj.com/articles/did-the-u-s-tax-overhaul-do-what-it-promised-1157811400

尚、S&P500 Material指数は1年前と比較すると 14.24 %△で伸びていることは伸びている。

https://us.spindices.com/indices/equity/sp-500-materials-sector

一方で、S&P500エネルギーセクターは10年でのリターンはほぼない。むしろ、この1年間で -12.63 %▼でなかなか厳しい状況にいることは間違いないのだ。

https://us.spindices.com/indices/equity/sp-500-energy-sector

米国は、2019年9月から月次でみて原油の純輸出国になっている。
それに伴い、米国内の原油在庫が減少するかどうかは重要な指標になる。IEAが毎週出している在庫量によると、12/28、1/4週は在庫下落していたが、1月末から増加している。米国原油の輸出先は、カナダ、メキシコ、韓国、日本、ブラジルが上位4カ国だ。残念ながら、数カ月遅れでしかデータ閲覧できないのでどの国が年末から年初にかけて輸入したかはわからない。仮に中国だったとしたら、米中貿易合意を履行しようとしている可能性がある。

https://www.eia.gov/dnav/pet/pet_move_expc_a_EP00_EEX_mbbl_m.htm

米国では、産油会社の倒産も増え、銀行への貸し出しも減っているようだ。銀行の貸出や資金調達が難しくなっているのは、ESG投資の流れで化石燃料からの逃避もありそうだけど。この記事には、そこまで書かれていないけど、レバレッジドローン

財務計算は長い道のりだ。ディールロジックによると、2014~15年の石油価格の暴落後、米国の石油・ガス生産者は16年に資本と負債の市場で566億ドル(約6兆円)を調達した。今年は米国の産油量が3年間で3分の1以上増えたにもかかわらず、たった194億ドルしか集まらなかった。
資金調達が厳しくなり、今年の倒産件数は増加している。法律事務所ヘインズ・アンド・ブーンによると9月末までに33件で、このうち27件は5月以降に発生し、18年通年とほぼ同じになった。今月はEPエナジーが負債総額46億ドルで破産を申請した。「商品価格の低下による大きな変化と戦ってきた」という。
(中略)
銀行は目下、産油会社への貸し出しの根拠となる石油・ガス埋蔵量の価値の再評価をしている。年2回定例の見直しが進む中で、将来の石油・ガス価格をこれまで以上に控えめに想定する。チューダー・ピッカリング・ホルトのポルティロ氏は、想定価格の引き下げで経営基盤の弱い産油会社への貸出枠は20年に10~25%減少すると推計している。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51390130V21C19A0000000/

で、なぜゆえにこんなに資源価格を気にしているかというと、レバレッジドローンと深く関わりがあるからです。
レバレッジドローンの構成をセクター別にみると、”35% of the Top Loans of Concern are in the retail and energy sectors. ”で小売りとエネルギー企業で17%ずつになります。しかもデフォルト率は、2020年で13%になると2019年末で予測されている。予測範囲内のデフォルト率なら想定内でいいんですが、上振れたらどうなるかということです。尚、レバレッジドローンのデリバティブがCLOですから、連鎖するでしょう。このあたり、日本語でデータがとれないので引き続き、いろいろ調べていきます。

https://www.forbes.com/sites/mayrarodriguezvalladares/2019/11/22/leveraged-loan-defaults-are-at-highest-level-in-two-years/#9bfc478d228c