株式市況 イラク国内でイランとアメリカが激突

【CME日経平均先物:円建て】23,270 (-420) 日経比:-386.62
【ドル円】 108.08 -0.49 ▼0.45% [01/03]
ハンセン指数   28,451.50 ▼0.32%
【上海総合指数】 3,083.79 ▼0.05% -1.41 [16:02]
CSI 300 Consumer Staples Index   20323.78 ▼1.92%
MSCI Emerging Markets 1,123.87↓  [1/3] 
( 52 WEEK RANGE 945.28 – 1,133.86 ) 
MSCI Intl Emerging Market Currency      1,664.39    ↑  [1/2]
( 52 WEEK RANGE 1,575.1 –   1,666.58 ) 
バルチック指数  907.00   ▼7.07%   [1/3]

【NYダウ】 28,634.88 ▼0.81% -233.92 [01/03]
(52週最高値  28,645.26  52週最安値21712.53 ) 
NASDAQ  9,020.77 ▼0.79%
(52週最高値       9,022.39     52週最安値6190.17 )
S&P500      3,234.85    ▼0.71%
(52週最高値     3,240.02  52週最安値2346.58 ) 
ラッセル2000種指数  1,660.870 ▼0.35%
(52週最高値  1,680.362   52週最安値 1,266.925 )
【VIX恐怖指数】     14.02 ↑ 
【WTI原油】   63.03 ↑  
【NY金先物】  1,555.15    ↑ 急上昇!
ドルインデックス: 96.60↑ 
米国30年債利回り:2.246↓ 
米国10年債利回り: 1.789↓
米国 2年債利回り:1.533↓
NASDAQ OMX China Technology (CHXN9000) 1,936.09 ▼0.69%
(最高値 2019年4月23日 2103.75)
NYFANG:IND    3,172.382 ▼0.99%
( 52 WEEK RANGE  2,065.031 –   3,122.540 )
S&P/LSTA U.S. Leveraged Loan 100  2,274.92△ 0.06% [1/2]
(52 WEEK RANGE  2,049.76 –   2,274.92 )
BofAML US High Yield Master II Effective Yield 5.33 ↑ [12/31]
BofAML US Corporate BBB Effective Yield 3.19    ↑  [12/31]
BofAML US High Yield CCC or Below Effective Yield   11.70 ↓↑   [1/2]
米取引所の合算出来高は74億7000万株。直近20営業日の平均68億7000万株を上回った。
AAPL 297.43▼0.97% (52週最高値 300.60  52週最安値142.00 )
AMZN 1847.97▼1.21% (52週最高値 2035.80 52週最安値1307.00 )
GOOG 1372.42▼0.49% (52週最高値  1372.42  52週最安値970.11 )
MS   160.73▼1.25% (52週最高値 160.73 52週最安値93.96 )
NVDA  236.07▼1.60% ( 52週最高値 241.81 52週最安値124.46 )
FB   208.67▼0.53% (52週最高値 210.39 52週最安値123.02 )
NFLX  325.90▼1.19% (52週最高値 385.99 52週最安値231.23 )
※52週最高値・52最安値更新:2020/01/04時点

米国はバグダットで3日未明に、空爆を行った。
29日に米軍は報復攻撃したばかりなのだ。
11:20JSTにBloombergTVをみていたら、Breakingが入ってきた。
続報で「原油が3%上昇」と耳に入ったので、ただ事ではないと思い調べ始めました。

 米国防総省は2日、空爆で殺害したイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官について、イラクと中東で米国民を攻撃する計画を進めていたとの見解を示した。同省は、声明で「大統領の指示により、米軍は海外に駐留する米職員を守るため、ソレイマニ司令官を殺害することで断固とした防衛措置を講じた」と表明。今後も米国民や世界の利益を守るため必要な措置を講じていくとした。
同省によると、ソレイマニ司令官は過去数カ月にわたり、イラクの連合軍基地への攻撃を「画策」していたほか、今週起きたバグダッドでの米大使館「襲撃」を承認したという。

https://jp.reuters.com/article/iraq-security-blast-pentagon-idJPKBN1Z20AT

このソレイマニ司令官というのは、BBCによるイラン国外の精鋭部隊の司令官であり、中東各エリアの武装勢力を後援してきた重要人物のようだ。PBSの情報によると、イラン国民に非常に人気のある軍人だったようだし、ハメイニ師の信頼も厚いようだ。どういう人物であれ、その国家(組織)にとって英雄扱いされていたり、人気者を米国が狙って殺害したら、反米感情が高まることは逃れられない。当然のように、イラン革命防衛隊は報復宣言もしている。

ソレイマニ少将は1998年以来、コッズ部隊を率いてきた。コッズ部隊は、イラン革命防衛隊の中でも国外での秘密作戦を扱う精鋭部隊だ。
イラン政府はコッズ部隊が、シリア内戦においてバシャル・アル・アサド大統領に忠誠を誓う部隊の軍事顧問を務めるほか、シリア政府軍と共に戦うシーア派武装勢力に武器を提供したことを認めている。さらにコッズ部隊はイラクでは、過激派勢力「イスラム国(IS)」との戦いに参加したシーア派武装組織を後押しした。
こうした一連の戦闘でコッズ部隊が大きな役割を果たしたことから、かつてはほとんど世間の目に触れることのなかったソレイマニ将軍は、イランである種の有名人になった。

https://www.bbc.com/japanese/50980333

この殺害指示を誰が出したかというと、トランプ大統領なのだ。
米議員には事前に知らされていなかったようだ。 ソレイマニ司令官殺害ニュースが報道されてから、民主党議員からは「議会の承認得ずに、トランプ大統領は開戦する気だ」などの批判がでていた。上院外交委員会委員長は、支持する声明をいち早く出していた。ルビオ議員、テッド・クルーズ議員、グラム議員などはいち早く支持を示して夜中にも関わらず、ツイートし続けていた。
上院外交委員会委員長は、 PBSニュースにも出演していたし、FOXニュースにも出演。ソレイマニ司令官を殺害したことについては、共和党だけでなく、チャック・シューマー議長も賛同を示している。イランと中国への強硬路線だけは、両院議員とも一致するというのが面白い。

国防総省は声明で「トランプ大統領の指示により、米軍は海外に駐留する米職員を守るため、ソレイマニ司令官を殺害することで断固とした防衛措置を講じた」と表明。イランによる将来の攻撃計画を抑止することが狙いと説明した。 トランプ大統領は、 記者団に対し「ソレイマニ司令官は米国の外交官や兵士らを対象に悪意のある差し迫った攻撃を画策していたが、われわれが彼を取り押さえ殺害した。われわれの行動は戦争をやめるためであって戦争をしかけたわけではない」と説明した。米国はイランの体制変更を望んでいないが、イランは地域における侵略活動をやめる必要があると強調もした。

https://jp.reuters.com/article/iraq-security-blast-idJPKBN1Z205I

もうひとつ、留意しなくてはいけないことがある。
この攻撃に対して、各国がどういう声明を出しているかだ。
イスラエルのネタニヤフ首相は、米国を賞賛した。まあ当然だ。
中国外務省は、武力行使に反対する声明。まあそうだろうな。

China has been closely following the relevant situation. We oppose the use of force in international relations and believe that all sides should earnestly abide by the purposes and principles of the UN Charter and the basic norms governing international relations. Iraq’s sovereignty, independence and territorial integrity must be respected, and peace and stability of the Gulf Region in the Middle East must be upheld. We urge the relevant parties, the US side in particular, to remain calm and restrained and avoid further escalating the tensions.

https://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/t1729508.shtml

ロシアからも非難。そろそろ、トルコあたりも非難声明出しそうだ。
欧州から何も聞こえないが、沈黙を続けるつもりだろうか。

AFP通信によれば、イランと協力関係にあるロシア外務省は「ソレイマニ司令官はイランの国益を献身的に守った」とその死を悼むとともに、米軍の空爆は「地域の緊張を高める冒険主義的な行為だ」と批判した。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020010300499&g=int

そして、米軍は中東に3000人を派遣した。更には、イラン国内滞在のアメリカ国民に対して国外退避命令が出された。イラクは政治危機も起きている。イラク大統領は辞任宣言しておきながら、未だ辞任していないようだが、イラン派の大統領ができるのを防ぎたいようだ。

米国防総省は3日、第82空挺師団から中東に約3000人を増派すると発表した。中東地域で米軍に対する脅威が高まる中での予防措置という。
また匿名の米高官は、レバノンの大使館防衛などに向け、欧州を拠点とする第173空挺師団の一部派遣なども検討されていると述べた。

https://jp.reuters.com/article/iraq-security-usa-middleeast-idJPKBN1Z228L

アメリカ軍によるイランの革命防衛隊司令官の殺害に対し、イランが報復を強く警告するなか、イラクの首都バグダッドにあるアメリカ大使館は3日「イラクで緊張が高まっている」として、イラク国内のアメリカ国民に対し、直ちに国外に退避するよう求めました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200103/k10012234791000.html

ここで、今一度、中東の地図をみてみよう。
イラクは、シリアとイラン、サウジアラビアに囲まれている国家である。イランはシーア派盟主、シリアもシーア派で革命防衛隊の勢力圏だ。既にイラク国内でシーア派勢力がテロなどを仕掛けていて、シーア派に乗っ取られそうだ。
一方で、一向に経済が上向かないので市民の不満は高まり、デモも続いている。
市民の政府への怒りは高まり、さらにシーア派の活動が激化して、政府が機能しないとなると、非常に危険な状態になるだろう。いや、もうなっているな。
しかも、シリア・イラン・トルコに挟まれているということも米国にとっては、非常に厄介な問題だ。つい最近、シリア・トルコ・イラクにまたがるクルド自治区の戦闘部隊(PKK)を見捨てる行動をとって反感をかっている。手を差し伸べてくれるのはサウジアラビ・イスラエルだけだろう。
ここからは、私の推測だが、シリアを支配下に置き、イラン・トルコともうまく付き合っているロシアあたりがイラクをうまくまとめることになるかもしれない。
それにしても、米国はアフガニスタンとも20年近く戦争して決着がついていないのに、遂に親玉のイランと激突するつもりなのか。トランプ大統領は戦争を望んでいないし、多くの議員も望んでいないようだ。共和党グラム議員は、ツイッターを診る限りは、やる気満々にみえるけどねw
開戦しなくても、攻撃→報復のループが続けば、実質的に戦闘状態に入っていくだろう。更に、クシュナー大統領顧問といい、トランプ大統領は、軍事のド素人だ。トランプ政権で軍事経験者っていないんじゃないかな?
私は、クシュナー大統領顧問が中東和平をもたらせるなんて思っていない。イスラエル内だけならなんとかなりそうだが、イラン革命防衛隊まで手なずけるのは無理があるだろう。


ちょうどフォーリン・アフェアーズ1月号にも、「中東における全面戦争のリスク」という論文が掲載されていた。
なるほどなぁと思ったことは、革命防衛隊がフーシ派に武器提供していたり、ISISを後援するような活動をとっていたということは事実だが,統制がとれているかは未知数ということだ。つまり、極めてゆるい繋がりであって、司令官が指示したら動くとは限らないということだ。そもそもイラン革命防衛隊の中でも、本当に統率がとれているかは疑う余地があるようだ。
だとすると、敵としては非常に厄介であり、望んでいなくても中東で全面戦争に巻き込まれることは必然になるのかもしれない。

イスラエルと敵対勢力、イランとサウジ、そしてスンニ派の内部分裂が存在し、これらが交差するだけでなく、ローカルな対立と絡み合っている。「サウジに味方をすることは、(イエメンの)フーシに反対するということであり、それはイランを敵に回すことを意味する」。こうしたリンケージが入り乱れている。ワシントンが中東から撤退するという戦略的選択をしようがしまいが、結局、アメリカはほぼ確実に紛争に巻き込まれていく。

https://www.foreignaffairsj.co.jp/theme/202001_malley/