9日(土)の市況はこちらです。
投資主体別売買動向は、必須データだと思うのでそれだけでもご覧ください。
直近6年間で2か月連続して2兆円を超えるような買い越しはなかったですが、あくまで直近の傾向なので、今後もガイジンが買い続ける可能性がないわけではないです。
さて、今朝の日経先物大証。ちょい上げかな。
23,450.00 8:48JST
【ドル円】 109.23 8:48JST
ダウ先物指数 27,626.00 8:40JST
SP500先物指数 3,089.50 8:40JST
さて、大きなニュースがないこともあり、フォーリン・アフェアーズ最新号の11月号から興味深い論文をご紹介します。
タイトルをみて頂くと、米中摩擦についての記事は2つで、どちらかというと独裁者の台頭というテーマに比重が置かれていました。
世界の独裁国家のGDP合計が欧米民主国家を上回ってしまったというのは、どう考えても中国の台頭と、欧州の衰退が原因だろうなぁ。米国一国で中国と独裁国家のレンティア集団と立ち向かうのは限界がありますよ。
この10年は独裁国家にとってよい時代だった。中露というパワフルな権威主義国家のグローバルな影響力が急拡大し、19世紀末以降はじめて、世界の独裁国家の国内総生産GDP合計が、欧米民主国家のそれに匹敵するか、上回るようになった。イデオロギー領域でも、独裁国家が攻勢にでているかにみえる。(中略)世界のあらゆる地域で民主国家が倒れるか、その体制が形骸化している。
フォーリン・アフェアーズ 11月号 「ポピュリズム独裁の台頭と末路」
ジョンズ・ホプキンス大学 ヤシャ・モンク
北京が極めて緻密な計算をして、消費者への経済的な痛みを最小化におさえていたことを知りませんでしたよ。こういうのって報道されていない気がする…
しかも、チャイナは人民元を対ドルで元安に誘導していたので関税の痛みは相当おさえられていたはず。
トランプ大統領が「中国の方が合意したがっている」なんて、米国の思い上がりでしかない。もしくは、北京の行動を把握しているのに、大嘘をついているかだ。
中国は他国からほぼ同価格で輸入を代替できるアメリカからのコモディティ輸入しか関税の引き上げを適用しなかった。半導体や医薬品など、他国からのより安価な輸入で代替できない米製品については、逆に関税率を引き下げた。その結果、アメリカ製品の全般的輸入に高関税が適用されたにもかかわらず、こうした米製品の輸入価格はむしろ低下している。
フォーリン・アフェアーズ 11月号 貿易戦争の本当の目的―― プラスサムへの思考転換を
ウェイジャン・シャン PAG最高経営責任者
トランプ政権主要メンバー、大半の共和党議員などは、中国がかなり手強い敵であることをしっかりと認識していないのかもしれない。
だとすると、戦略も戦術も間違っていることになるが、それを誰が正すかとなると、これまた難しい問題でもある。国内対策ばかり注視している米民主党議員はまず無理だろう。かといって共和党にもできるか…?
米国内では、孔子学院追い出し、中国人留学生締め出しといい、米中ディカップリングはあらゆるところで進んではいるが、「米中覇権戦争」という明確なメッセージは確かに薄い気がする。そもそも米国覇権を当然のことのように米国民は捉えているので、そんなことを訴えても響かないのもあるだろう。だとすると、「米国の機密情報を盗んでいる」など悪者扱いにする方向になるが、明確な覇権争いだというメッセージをださないと、危険な方向に向かう気がする。
「中国にエンゲージする時代は終わった」というコンセンサスが短期間で形成されたため、米中競争に関するこの本質的な問いに対する答えが示されていない。「何のために競い合うのか、望ましい結果はどのようなものか」競い合う手段を明確な目的と結び付けなければ、政策は「競争のための競争」へおし流され、危険な対立の連鎖を引き起こす。
フォーリン・アフェアーズ 11月号
(中略)
中国はソビエトよりもはるかに手強いライバルだ。20世紀には、ソビエトを含めて、国内総生産(GDP)がアメリカのそれの60%に達したライバルはいなかった。2014年にこのレベルを超えた中国は、購買力平価PPPでみると、すでにアメリカのGDPを25%上回っている。しかも、複数の経済分野でナンバーワンのシェアをもつ中国経済は、いかなる時期のソビエト経済よりも多角化され、柔軟で洗練されている。北京はモスクワと比べて、経済力を戦略的に利用することに長けている。ソビエトは経済の閉鎖性によって身動きが取れなくなったが、グローバル化を受け入れた中国は、すでに世界の3分の2以上にとって最大の貿易相手国だ。このために、中国と「アメリカそして世界」との関係には、米ソ関係にみられなかったような経済的、人的、技術的なつながりが存在する。
(中略)
米中の経済及び技術競争は、モデルや構想をめぐる競争でもある。しかも、イデオロギー対立が鮮明だった冷戦とは違って、米中対立の境界線はあいまいだ。ワシントンも北京も冷戦期のような相手の切り崩し策はとっていない。しかも、北京が自国の政治経済モデルの輸出を心掛けているわけではない。それでも、中国はソビエトよりもパワフルなイデオロギー上の課題を作り出すことになるだろう。
封じ込めではなく、米中の共存を目指せ ―― 競争と協調のバランスを
カート・M・キャンベル 元米国務次官補(東アジア・太平洋担当)←オバマ時代
ジェイク・サリバン カーネギー国際平和財団非常勤シニアフェロー