株式市況/EUは米国と中国の板挟みだけでなく、内部分裂しており解体の道をたどっている

10月5日(土)のデータはこちらをご覧ください。

今朝の日経先物をみると、今日は動いていない…
21,440.00  8:55JST
【ドル円】 106.78 -0.10 ▼0.10% [08:56]
ダウ先物  26,452.00 8:46JST
SP500先物 2,942.50  8:46JST
USD/CNH 7.1260 8:57JST

米中貿易協議が今週からはじまる。閣僚級は日本時間で週末にかかってしまう。
交渉前から、こんな内容がリークするようでは交渉決裂あるいは交渉停止するだろう。中国は長期戦を意識して半年前から動いてきているので、彼らが譲歩することはないだろう。交渉合意するとすれば、米国が譲歩するだけだ。しかし、対中交渉において譲歩することは共和党・民主党からの反発も強くなる。対中交渉に妥協することは、共和党内でも反発が強まり、上院内で弾劾賛成票を集めてしまう可能性がでてくる。ホワイトハウス政権は、難しいかじ取りを迫られているだろう。こういう状況を中国は冷静に分析してそうだ。

関係者の1人によれば、劉鶴副首相は米国側の要人に対し、中国の産業政策や政府補助金の改革に関するコミットメントを盛り込まない提案を行うと述べた。米国は両問題に長期間不満を表明してきた。同副首相は10日からの閣僚級貿易協議で中国側の代表を務める。

  こうした提案になる場合、トランプ政権の主要な要求の1つが議題から外れることになる。トランプ政権は弾劾調査に直面している上、大統領の貿易戦争による混乱で景気が減速していると産業界から批判を受けているだけに、このような提案は中国側が交渉で影響力を強めている表れと受け止めるアナリストもいる。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-06/PYYZQN6TTDS001?srnd=cojp-v2

中国の外貨準備は減少したようだ。あれだけ金を中国が買っていると指摘されていたが、中国人民銀行の金準備高は減少している。民間部門が金を買ったのだろうか?( ゚Д゚)

中国人民銀行(中央銀行)が6日に発表した9月末の外貨準備は、前月末より148億ドル少ない3兆0920億ドルだった。 (中略)
金準備は8月末時点の954億5000万ドルから930億4500万ドルに減少した。

https://jp.reuters.com/article/china-economy-forex-reserves-idJPKBN1WL0M6

トランプ大統領よ、遅いよ! ペンス副大統領は数週間前からウォーレン民主党大統領候補を意識した発言をしているよ。 バイデン元副大統領の件だって、さっさと自分の敵はウォーレン議員だと気づいていれば、問題も広がらなかった気がするんだよなぁ。

トランプ米大統領は3日、2020年大統領選の民主党候補にエリザベス・ウォーレン上院議員が選出されることも想定し、準備していることを示唆した。
  民主党の候補者争いでこのところ支持を伸ばしているウォーレン氏について、トランプ大統領はこの日も17世紀に実在した先住民女性ポカホンタスにちなんで「エリザベス・ポカホンタス・ウォーレン」と呼んでやゆした。
 トランプ氏はフロリダ州での講演で、自分がこの呼び名を使うことでウォーレン氏の大統領候補選出の可能性が遠のいたと思っていたが、長らくレースのトップを走ってきたバイデン前副大統領に今や勝つ見込みが出てきたようだと発言。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-04/PYTXHL6K50XS01?srnd=cojp-v2

さて、今月号のフォーリン・アフェアーズが届きました。
目次をみて、株価に関係ありそうなコラムに真っ先に目を通すんですが、今月号は少ない😢 フィリピンのドゥテルテ大統領とか、プーチンとか詳しくなっても米国株への影響は極めて小さいし…

その中でも一つの記事は、EUに直面している課題を整理していてよかった。
約10年前から中国に気に入られようと必死になってきたドイツ(メルケル首相)だったし、EUは牽制しようとしていたのを貿易を重視して甘やかしてきたのはドイツだ。だからこそ、対中貿易で黒字を計上している数少ない国の一つでもあるわけだが、甘やかしてきた責任は重い。尚、対中貿易で黒字を計上しているEU国は、フィンランド、アイルランド、ドイツの三か国だけのようだ。

この記事を読むと、EU内部は、中国問題ひとつとっても分裂しており、利益重視のEU小国と戦略シフトしたいEU大国で意見が分かれているのがみてとれる。一方で、EU内で「中国疲れ」を起こしているのも事実なようだ。ワルシャワからドイツまでの高速鉄道を建設するはずだった中国の建設会社は資金難に陥り、建設停止となりポーランド政府は契約打ち切りになった。チェコ共和国は、チャイナ・エナジーから莫大な投資を受けていたが、ある日突然、チャイナ・エナジー経営幹部が中国で逮捕されて、事業すべてが中国国家管理下におかれてしまった。

EUは一枚岩にもなれず、米国と中国の板挟みにあっていて、ブレクジットという脱退問題までおきてしまい、八方塞がりだ。いきつくところはEU解体だろう。組織解体するか、組織を残しつつも実質的には解体しているかはわからないが。

ベルリン、パリ、ブリュッセルでは対中政策に関する戦略シフトが起きているが、EU小国の指導者たちが中国との関係強化によって得られる利益だけを重視している。トランプ政権と対立しているとはいえ、アメリカとの古くからの絆を断ち切るわけにはいかず、一方で、1日10億ドル規模に達する中国との貿易を規制できるような余裕もない。(中略)

中国に進出したドイツ企業は約5200社に達し100万人を超える中国人を現地で雇い入れている。2017年までにフォルクスワーゲンの販売の4割は中国向けになり、ドイツにとっての最大の貿易パートナーはアメリカから中国に入れ替わった。(中略)
EUは困難な環境に直面している。ブレクジット、ヨーロッパ全域での非自由主義政治勢の勝利、ロシアの台頭、悪化するアメリカとの関係という一連の問題を前に、ヨーロッパの指導者たちは、なんとか、欧州の統合プロジェクトと国際システムを維持していこうと試みている。このため、中国への対応に十分な時間とエネルギーが注ぎ込めずにいる。

フォーリンアフェアーズ2019年10月号「ヨーロッパが直面する中国の脅威」
ジュリアン・スミス(前米副大統領副補佐官)トーリー・タウシッグ(ブルっキング研究所)