米議会11/13-18:11/17(金)23:59に期限をむかえるつなぎ予算、新たなつなぎ予算が提出されるが問題は上下院の交渉

上下院ともに、今週は11/17(金)23:59に期限をむかえるつなぎ予算への対処だ。今のところ、上下院ともに新たなつなぎ予算を用意しているものの、中身が異なるため調整が必要になる。
11/17(金)23:59までに新たなつなぎ予算を上下院で可決して大統領署名までおえて立法を終えないと、政府閉鎖に陥ることになる。ジョンソン下院議長は、超党派の交渉経験に乏しい(というかないに等しい)し、交渉して立法の実績をあげた経験もほぼない。
正直、過去の経験がないし、超党派の動きを見せたこともないのでどう動くか予測するのは困難なはずだ。先日、シューマー上院院内総務と個別会談した時も「ジョンソン下院議長には超党派で取り組む姿勢がない」とはっきり言われているほどだ。
無事につなぎ予算が可決して、政府閉鎖が防げればThanksgivingをはさんだ1週間は上下院ともに休会となる予定だ。

上院の議会カレンダー/枠で囲んだところが休会予定
https://www.govinfo.gov/content/pkg/CCAL-118scal-2023-11-13/pdf/CCAL-118scal-2023-11-13.pdf

①ジョンソン下院議長が発表した新たなつなぎ予算案

まず、大前提として年度予算は各委員会から提出される12の法案を1つのパッケージにして「オムニバス法案(Omnibus Bill)」として審議・可決されてきた。これは別に規則・法律で決まっているわけではない。それぞれの歳出法案ごとに審議を実行しようとすると、審議が難航して可決できないことさえあるため、1990年以降はオムニバス法案で進めてきただけだ。もっとも、この進め方こそが債務を増加させたと下院共和党フリーダムコーカスなどは主張している。それぞれの予算について細かい審議が本議会でできなくなっていることに不満をもっている議員は多いのはその通りだ。法案ごとに交渉したいのだ。
一方で、この進め方そのものが米国の債務を膨らませたというよりは、現在の連邦政府支出の3分の2は義務的支出でメディケア・年金・退役軍人費用が占めているのだが。

Point 1.  12の年度予算を2つに分割して、期限は1/19と2/2

2/2の期限を設定された方の予算案は、共和党内でも意見が分かれていて時間がかかると考えられたもののようだ。なので、この期限の切り方は共和党内で交渉が進みそうなものは1月・時間がかかりそうなのは2月と考えてもらってよいだろう。

ちなみに、この方式だと上記4つの省庁のみ1/19につなぎ予算の期限切れを迎える。軍事建設・退役軍人の年度予算は上下院で可決しているので、バイデン大統領が署名すれば年度予算が確定する。

Point 2.  ウクライナ支援・インド太平洋支援・災害対策などバイデン政権が求めた追加予算は含まれず

ジョンソン下院議長はウクライナ支援を進めるとは約束しているものの、南側の国境安全対策と一緒の法案にすると宣言している。可決する時期も明言していないし、急ぎだとも発言していない(引用元:The Hill
一方で、NSCのカービー戦略広報調整官は8日、米政府はウクライナ支援に割り当てた資金の96%をすでに利用したと明らかにした(引用元:ロイター

Point 3.  予算削減が盛り込まれていない

共和党のフリーダムコーカス議員からは、一部ジョンソン下院議長が提案したつなぎ予算に反対票を投じると宣言しているものの、まだこうした意見は少数。

②上院が提案するつなぎ予算

シューマー上院院内総務をはじめとする上院指導部が、1/19までの暫定予算を検討していると報道されている。以前は、12/8までで進めていると報道されていたが、確定していないようだ(引用元:Roll Call
上院では、すべての年度予算が委員会を可決していて、一部は先に本議会でも可決している状況だ。なので、あとは可決するだけだ。
上院では、つなぎ予算に関して 審議入りに向けた動議の投票が11/13(月)に控えているのでそこで明確になってくると思われる。

2024年総選挙に向けて

先日の共和党討論会では立候補者が5名に絞られた。

11月に入ってからも世論調査での順位はほぼ変わらず、トランプ前大統領がダントツにリードしている。共和党討論大会もいまいち盛り上がらない。一時期、Ramaswamy氏が急上昇していたが最近は低迷していて討論会でもブーイングが目立った。ヘイリー元国連大使が伸びてはいるが、デサンティスFL州知事に追いつくといったわけでもない。


https://www.270towin.com/2024-republican-nomination/

ちなみに、バイデン vs トランプになると、トランプがわずかにリードするような調査が度々でてきている。また、2020年総選挙では30歳以下の若者がバイデン大統領を圧倒的に支持していたが、45%がトランプ・43%がバイデン支持という結果もでていて若年層からの支持が集まっている。

https://emersoncollegepolling.com/october-2023-national-poll-trump-making-inroads-with-young-voters-against-biden-maintains-majority-support-in-republican-primary/

さらに、バイデン大統領にとっては厳しい調査となったのが、黒人支持率が低下してきていることだ。The New York Times and Siena College の最新調査によると、GA州・AZ州など激戦となる6州での調査では、黒人有権者の22%が、トランプ前大統領を支持すると回答した。公民権時代以降、民主党の大統領候補が黒人票の80%を下回ったことはないので衝撃的な結果となった(引用元:The Hill

まあ、共和党大統領選で黒人のティム・スコット議員がでてきたというのも一つ大きな流れをつくったと思う。トランプ・チームはティム・スコット上院議員を副大統領候補として据えれば、黒人表を大きく奪還できるのではないかね。

ちなみにティム・スコット上院議員は独身(結婚歴なし)なのだが、先日初めてガールフレンドを公式に紹介した。ガールフレンドの存在がいるということは明かしていたが、選挙戦で本格的に応援にまわるのかも注目される。