1963年8月26日にワシントン大行進(March on Washington for Jobs and Freedom)が開催されてから60年目を迎え、今年は60周年記念が開催された。1963年当時、25万人が集まったとされているが、今年はどうも数千人が集結した控えめなものだった。2023年の主催者はキング牧師の子どもであるマーチン・ルーサー・キング3世が代表を務めるDrum Major InstituteとAl Sharpton牧師率いるNational Action Networkだ。
1963年のワシントン大行進は公民権運動の側面のみで語られがちであるが、主催者は寝台車ポーター労働組合(Brotherhood of Sleeping Car Porters/1925年設立)のリーダーだったフィリップ・ランドルフだ。当時、全米自動車労働組合(UAW)、International Union of Electrical Workers(IUE)、Chicago Teachers Unionなどが参加していたことからも労働組合が深く関わっていたことがわかる。当時の写真からストライキ看板をみると「UAW」「I.U.E」「AFL-CIO」などの労働組合名がみえる。もちろん、公民権運動の主要活動団体であるNAACP(全米黒人地位向上協会)、Congress of Racial Equality・Student Nonviolent Coordinating Committee・the National Urban League・そしてキング牧師が議長を務めたSouthern Christian Leadership Conference (SCLC)も参加していた。要は、労働組合と公民権活動家が団結してお互いの要求を実現させようとしたのだ。もっとも、1925年に設立された寝台車ポーター労働組合は、黒人だけで組織されていて、黒人の地位向上と労働環境向上の両方を掲げていた。AFL-CIOも労働運動と公民権運動は当初から結びついてはじまったと書いている(引用:AFL-CIO)
で、2023年の60周年記念イベントは先ほど述べたとおり数千人が参加する控えめなものだった。で、この横断幕をもっている人の中で、米最大のユダヤ人連盟であるAnti-Defamation LeagueのJonathan Greenblatt議長がいる。今回のイベントでは主催者的な立場なようでスピーチもしている(引用元:Time)
スピーチでは、AFL-CIO議長と副議長・ATF(全米教師連盟)議長なども講演しているが、労働組合と公民権運動の同盟関係に変化が起きている気もする。
民主党下院少数党院内総務のジェフリーズ(NY選出)は、演説行ったようだけどその他議員は参加していた形跡がないなぁ… 。
House Minority Leader @RepJeffries: We're going to continue to stand up. We're going to keep fighting. We're going to keep demonstrating. We will not stop until we reach the promised land of liberty and justice for all. #MOW60 pic.twitter.com/LlaERN7Gm4
— Drum Major Institute (@DrumMajorInst) August 26, 2023
バイデン大統領は、WPにワシントン大行進60周年を記念して寄稿していた。また、6月28日(月)にはホワイトハウスに マーチン・ルーサー・キング3世らを招待しているようで、60周年を祝福する予定とのことだ。
黒人支持率が下がっているバイデン大統領にとっては、黒人からの支持を回復するのにいい機会となるだろう。バイデン大統領からの発信には注目しておきたい
共和党の第1回大統領候補者討論会
リアルタイムで閲覧できなかったので、あとから視聴した。
自分用のメモに近いので感想になります。また、誰が共和党予備選候補者になるかに興味あるだけで、誰か特定の人物を応援していることは私はしていません。
まず、最も声援を浴びていたのはラマスワミ氏だった。実際、“Vivek Ramaswamy” は討論会後に検索された回数が24時間で100万回を超えたと報道されている(引用元:Politico)トランプ前大統領に近いポピュリストとまで言われるようになった。The Atlanticでも彼が明らかに主役だったと発言している(引用元:the atlantic.com)
ペンス元副大統領とクリス・クリスティ元NJ州知事はブーイングされることが多かったように思う。デサンティスFL州知事は人類が気候変動を引き起こしているかどうかの挙手に反発したり、質問からうまく逸れる回答がいくつか目立った。
スコット上院議員・バーガムND州知事・ ハッチンソン前AR州知事 は目立たず。
各メディアでも取り上げられ、最も盛り上がった質問の一つが「トランプ氏候補なら有罪でも支持するか?」だった。この挙手の順番が非常に面白かった。真っ先に手をあげたのはラマスワミ氏 。次いで、ヘイリー元国連大使とスコット上院議員。前半では最後にバーガムND州知事が上げる。
ここまで挙手した段階でデサンティスFL州知事、ペンス元副大統領、最後にクリスティNJ州知事が挙手した。
ラマスワミ氏は、トランプ前大統領は「21世紀最高の大統領」だと述べ、拍手喝さいを浴びた。
現段階では、ラマスワミ氏は共和党予備選大統領候補者には難しい
話が上手く、非常にいいポイントを指摘するのでデサンティスFL州知事に次いだ人気なのはわかる。ただ、彼だとキリスト教福音派がついてこないだろう。共和党で重要な票となるカトリックもついてくるかはかなり微妙だ。
彼はインド系移民で米国内のヒンドゥー寺院に足しげく通っていることが目撃されている。信仰の違いもあるが、いくつかの発言を考えるとどうもクリスチャン票を意識していないように思う。例えば、先日の共和党討論会ではこの発言がきになった。
“It is not morning in America. We’re living in a dark moment,”
キリスト教(ユダヤ教)は、闇からはじまる。 聖書の創世記に「夕があり、朝があった」とあるように暗闇からはじまるわけだ。 ラマスワミ氏がこういう発言をしてくるということは、クリスチャンから支持されようという発言を意図していないし、逆に言うと誤解される可能性も多分にある。
もっとも、福音派もずっと共和党候補者を指示していたわけではない。福音派の支持をえて民主党カーター大統領は1976年に当選したが、カーター大統領と民主党の政策に失望し福音派とデカップリングしたのである。
なので、もしかすると福音派が共和党とデカップリングしてラマスワミ氏が共和党大統領候補者になる可能性もある。
個人的には2028年か2032年民主党大統領候補者のインド系移民でロン・カーン民主党下院議員(本人はヒンドゥー教ではないが、ガンジーに強い影響をうけていると断言している)と、ヒンドゥー寺院に通っているくらいだからヒンドゥー教に影響をうけているであろうラマスワミ氏が大統領選で対決してくれると非常に面白い展開になるなあと思う。