米議会9/11-16:下院議会は再開、つなぎ予算に向けた動き/米国とベトナムの関係深化

夏期休暇が終わり、先週の上院再開につづき、下院議会は今週から再開です。
年度予算は9月末で終了するため、10月1日までに必ず2024年度予算を可決するか、つなぎ予算(前年度とほぼ同等の支出を可能にする)を可決する必要があります。

年度予算は各委員会で可決した12の法案を1つに束ねるのですが、下院議会ではいまだに1つしか可決できていません。間に合わせようと動いてもいないので、つなぎ予算で進めるつもりでしょう。
マッカーシー下院議長も、つなぎ予算を視野にいれているようですが、年末のクリスマス休暇までには年度予算を可決したいといった発言をしています。1か月程度のつなぎ予算になる可能性もある(引用元:washingtonexaminer)

つなぎ予算を可決するにしても、乗り越えるべき問題は3つあります。

【1つ目】今年は年内に2024年度予算を決めないと全体的な削減になる。
債務上限の時に可決したFiscal responsibility Act of 2023により、2024年予算は制約をうけます。 ①2024年度と2025年度の年度予算法案がそれぞれの会計年度の1月1日までに制定されない場合、裁量支出は現在の2023年度より強制的に1%削減となる(PAYGO原則の復活)。つなぎ予算で可決することは認めていない。そのため、特定の部分で1%引き下げではなく、全体的な削減となります。詳細は、1985 年均衡予算法(Balanced Budget and Emergency Deficit Control Act of 1985) に基づきOMB(行政管理予算局)が削減可能な範囲を算出しますが国防費削減も免れられないとみられています

【2つ目】共和党下院のフリーダムコーカスを説得をするか、下院民主党から協力を得るか

下院共和党議員のフリーダムコーカス(メンバーは非公開だが、下院共和党内で40~80名程度)は、単なるつなぎ予算を可決することに反対を表明しています。過去に下院で可決した「Secure the Border Act of 2023」を含めること等を含めるように要請していますが、いずれも民主党が反対している内容です。

なので、つなぎ予算を可決するにしても、フリーダムコーカス下院共和党の要求を受け入れれば民主党は賛成票を投じなくなるでしょう。
なので、マッカーシー下院議長は債務上限の時と同じように、下院民主党から協力を得るか、フリーダムコーカスから協力を得るかのどちらかとなります。下院民主党から協力を得るにしても、現段階では公表されていません。

【3つ目】バイデン政権が要求した$240億のウクライナ支援・災害支援予算

バイデン政権は8月に米議会にウクライナへの追加支援・米国内の災害追加予算を含む$240億を要請した(引用元:Politico
民主党で大きな反対が起こることはないが、問題は下院共和党だ。正直、上院共和党はマコネル少数党上院院内総務を含めてウクライナ支援には強く賛同を示している議員が10名以上はいる。なので、民主党&共和党で60票はかたい。問題は下院共和党だ。フリーダムコーカスは、そもそも歳出削減(財政赤字を減らす)を掲げているので反対だ。フリーダムコーカスの中で唯一ウクライナ支援に積極的だった Andy Harris 議員でさえ、「ウクライナはもう勝てない。米国も支援している余裕はないので、自国の軍事費に充てるべき」という発言を8月にしたほどだ(引用元:Politico

米国とベトナムの関係深化

バイデン大統領は就任後、初めてベトナムを訪れ、最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長と会談し、両国の外交関係を格上げすることで合意した。米国からのリリース(引用元:Whitehouse)は以下。米国で学ぶベトナム人留学生は、外国人留学生の中で5番目に多いようだが、これから増えていくかもね。

・2013年にベトナムと包括的パートナーシップを結んで、10周年目に包括的戦略的パートナーシップに格上げとなった。
・半導体サプライチェーン、労働力、エコシステム開発に関する協力覚書
-CHIPS法によって創設されたITSI基金の下で、米国はベトナムと提携し、ベトナムの現在の半導体エコシステム、規制枠組み、労働力およびインフラのニーズをさらに発展させる。
-米国とベトナムは、半導体組立、テスト、パッケージングのための実習ラボとトレーニングコースを共同で開発する包括的な人材育成イニシアチブをベトナムで開始。米政府は$200万をベトナムに投資して、ベトナムで人材育成を進めていく。
-アリゾナ州を拠点とするAmkor Technology社は、2023年10月にバクニン省の最新鋭工場で操業を開始すると発表
・ベトナムのAMI AC Renewables社および米国のハネウェル社と共同で、カインホア省でベトナム初のイベント・バッテリー蓄電システムを開発する新しいパイロット・プロジェクトを開始
・ ベトナム航空、ボーイング機100億ドル相当を購入の見通し