【1】米議会下院スケジュールと、追加財政 “American Rescue Plan” の内容
スケジュールに変更が入り3/9-12に本会議投票が入りました。
おそらく、上院議会の追加財政について変更が入るという前提でスケジュールを見直したのでしょう。当初から宣言している通り、なんとしても失業給付増額が切れる週である3/12には通過させるのでしょう。
下院は、上院顧問( The Senate parliamentarian )が出した見解「最低賃金15$/hourの条項は、財政調整プロセスに加わるべきでない」を無視して、財政法案1.9兆$を26日深夜(翌日明け方)に可決させました。
大きな予算については以下の通り。
・1400$配布:$4220億($4500億ドルまでは前後する可能性あり)
(子どもも大人も世帯収入15万$以下が条件。夫婦+子2人なら5600$! 。さらには、18歳以上の大学生や扶養している大人(高齢者)ももらえちゃうよ~)
・州政府&地方政府:$3500億
(約 $1700億は、失業者”数”が多い州に応じた配分)
・失業給付増額:$2460億
( 州の失業保険プログラム増額に$1630億 /PUA に$442億 /PEUCに$345億)
・Child Tax Credit, Child Care Tax Credit:$1430億
・K-12 学校支援:$1290億
可決した”American Rescue Plan”の詳細は、これが一番まとまっています。 予算決議のもと、下院各委員会から上がってきた予算のまとめですね。
上院で最低賃金15$が外れたとしても、予算をみると540億ドルしかインパクトないんでまぁほぼほぼ満額通りそうです。
また、 今回の予算決議では1.89兆$で可決しているので、この範囲を超えることはできません。現在、可決した法案だと200億$上回っているので何かを削減する必要がありますが、 最低賃金15$の条項が外れればその問題は解決しますね。(参照元:Roll Call)
尚、今回は 共和党219票 民主党212票で、民主党からは造反者2名。
Reps. Jared Golden (Maine) Kurt Schrader (Ore.)
2~3のコーカスで内部分裂している共和党ですが、こういう時は一致団結するのね。考え方は違うグループがいても、敵(民主党)に対抗する時は一致団結できれば、まあ2022年の下院議会での議席奪還の可能性はあるのではないのでしょうか。上院は2022年で引退する議員が多いので、多数党になるのはかなり厳しいとみていますが、下院議会はお得意のゲリマンダの影響で可能性が多分にあります
【2】米議会上院スケジュール
上院議会は、 バイデン大統領が指名した閣僚メンバーの承認に向けた各委員会公聴会と下院で可決した財政調整法案の審議でかなり慌ただしい1週間になりそうです。3月は最後の週しか休みがないです。
①バイデン大統領が指名した閣僚メンバーの承認に向けた各委員会公聴会
毎日午前中にどこかの委員会の公聴会が入ってますが、副長官クラスのが多いですね。結局、ニーラ・タンデンOMB局長はどうなるんだ?
◆ ゲイリー・ゲンスラー SEC委員長 3/2
◆ Shalanda D. Young (OMB副局長)3/2
あと、気になるのが、3/4銀行委員会の「Wall Street vs. Workers」というタイトルがついた公聴会。金融システムが格差を拡大しているという副題までついている…。
②1.9兆ドルの財政調整法案についての審議
財政調整プロセスのもとなので、まず本会議での審議は20時間に限られる。フィリバスターはできない仕組みとなっており、修正案(Amendment)についても、バード・ルールの範囲内になる。1日5時間審議すれば、4日間で終わるようなスピードだが、今週いっぱいはかかるだろう。
そもそも 最低賃金15$/hour については、バード・ルールに違反しているんだが、マンチン民主党上院議員は、最低賃金15$/hourが盛り込まれていれば財政調整法案に反対すると述べている。シネマ上院民主党議員も反対している。一方で、シューマー上院院内総務は「民主党議員全員が賛成する」とか主張しているんで、実際はどうなるか見ものですね。
また、バード・ルールに違反したとしても、60票の賛成があれば財政調整法案に盛り込めますが無理のようです。また、 上院議長(副大統領)カマラ・ハリスは、バード・ルールを無視できるようですが、その方向では進まないだろうと報じられている。前例つくると、やり返されるからね…。
組合を母体にもつ民主党として最低賃金引き上げはかねてから戦っているので上院財政委員会委員長のワイデン上院議員やサンダース議員は、 最低賃金引上げの代替案はいくつか出してきた。シューマー院内総務が支持しているか不明。バイデン大統領は支持もしないが反対もしないという曖昧な態度表明。
また、民主党内のプログレッシブが納得するかという問題もありますね。
尚、各州の最低賃金もかなりバラつきがあるのはおさえておいた方がいい
・連邦政府の最低賃金 $ 7.25採用している州は20州(ぜんぶ共和党が強い州)
・ $ 8~ $ 9.75 9州
・ $ 9.75~ $ 11.50 7州
・ $ 11.50~ $ 13.25 11州(CA州、NY州)
・$13.25~$15 3州(WA州、MA州、DC)
参照元:WSJ
【3】 バイデン大統領の一般教書演説・予算要求
ペロシ下院議長は、追加財政法案可決しないと一般教書演説のスケジュールは決まらないと宣言しているので3月~4月ではないでしょうか。
大統領予算要求は、4月下旬になる見込みだそうです(引用:Roll Call)
あと、次は3兆ドルの追加財政をすると息巻いてますが、2022年度の財政調整プロセスを使うとしたら、おそらく年度予算として取り組むと思うんですがどうなるんでしょうかね。
そして、重要なのは、財政調整プロセスでは裁量的支出(インフラ投資など)は難しくなるので、バイデン大統領(というかプログレッシブ)の目玉政策についてはどうするつもりなのでしょうか未だみえないです。
【4】経済スケジュール
今週は雇用統計がある週ですね。FOMCは3/16-17なので来週からブラックアウト期間に入るんですかね。