さて、8月といえば8/17~ウィスコンシンで開催される民主党大会。
共和党大会は8/24~シャーロットビルで開催です。共和党大会には、共和党上院議員が次々と欠席表明をしています。
さて、メディアは、もうバイデン大統領候補が当選するかのように書いていますが、ポピュラー・ボート(州単位関係なく投票数でみること)でみても、ほぼ意味がない。州別でみる必要がある。2016年、クリントン大統領候補は、ポピュラー・ボートは勝利、資金調達も圧倒的に勝利していました。特に、資金調達面では相手候補を上回ったのに当選したのはトランプ大統領が初めてなのだ。
また、スゥイング州を特に注意してみる必要がある。
直近数十年の大統領選をみてもらうと、共和党が強い州はここ数十年変更動いていません。逆もしかりで、民主党が強い州は動かないのです。
ただし、人種比率の大幅な変更や急激な人口増については留意する必要があります。10年に1度の国勢調査が今年は実施されるはずですが、新型コロナ騒ぎでまだ最終結果が出ていないはずです。
さて、2020年のスゥイング州は、選挙人数が多い順に並べていくと、フロリダ州(29)、ペンシルバニア州(20)、ノースカロライナ州(15)、アリゾナ州(11)、ウィスコンシン州(10)。あと、テキサス州は大票田なので継続的にみていくことにします。テキサス州がバイデン候補が優勢になったら、おそらくトランプ大統領は敗退確実になるはずなので。
まずは、トランプ大統領がリードしている州は、アリゾナ州。
大票田のテキサス州もトランプ大統領がリードしていますね。
そのほかのスゥイング州であるフロリダ州、ノースカロライナ州、ウィスコンシン州、ペンシルヴァニア州では、バイデン候補がリードしています。ノースカロライナ州を除けば、5ポイント以上リードされているのでトランプ大統領にとってはなかなか厳しい戦いとなることは間違いないです。
また、 Redfield & Wiltonが実施したスゥイング州の投票調査では、すべての州でトランプ大統領が敗退する結果がでました。ただ、「Don’t know」が10%前後いることは留意する必要があり、まだバイデン候補が勝利するとは言い難い状況です。
福音派有権者はそれでもトランプ大統領に投票する
ピュー・リサーチセンターが実施した調査では、白人福音派の8割は、トランプ大統領にまた投票するとしている。支持率は下がっているものの、投票になるとトランプ大統領になるのだ。
そこには、カトリック信仰のバイデン大統領候補という側面もあるだろう。カトリックに投票するくらいなら、著名な福音派牧師ビリー・グラハムの孫であるフランクリン・グラハム牧師が支持しているトランプ大統領に投票するというのも納得する。
一方で、白人福音派がトランプ再選を阻止しようと立ち上がったグループがある。有名なのは、共和党員のための反トランプ団体であるリンカーン・プロジェクトだ。これは、元共和党戦略家が立ち上げた政治団体であり、PACだ。リンカーン・プロジェクトサイトについてはこちら。彼らは反トランプとして資金を集め、がんがん広告を打っている。さすがのトランプ大統領も目に余る活動になったようで、リンカーン・プロジェクトについて最近発言したことが話題になった。
彼らは、2019年に立ち上げているので、コロナウイルスパンデミック前からあったものだ。現在は、 コロナウイルスのパンデミックへの対処とBLMの抗議運動に失望した白人福音派を特に狙って活動している。 この白人福音派をどれだけバイデン大統領候補に動かせるかに、大統領選はかかっているといっても言い過ぎではないだろう。大統領選は、福音派の動向をおさえることが極めて重要になってきているのだ。
ところで、白人福音派と共和党が結び付いたのは、歴史をひもとけば、公民権運動だ。フォーリン・アフェアーズ2020年8月号「何がアメリカを引き裂いているのか」の論文によると、1950年当時は、イデオロギー的にほとんど違いがない状態で、米政治学会が政治的対立点をもっと明確にするように提言したほどなのだ。それが、公民権運動で一変した。民主党は人種的平等を受け入れることを選択肢、共和党はこれに対抗して白人の反動を受け入れたのだ。これが運命的な選択となり、2012年では共和党支持者でノン・ホワイト(非白人)は9%しかいなくなってしまったのだ。
そして、この70年で格差が拡大し、白人という一つのカテゴリーで括れなくなってしまったことが白人間の分裂を促しているのだろう。
最後にもう一度書いておくが、 白人福音派が大統領選のカギを握っている。リンカーン・プロジェクトなどの反トランプPACが白人福音派を動かせるかどうかでもあるだろう。
尚、私の意見としては、白人福音派は反トランプにほとんど流れないと思う。なぜならば、福音派は聖書を重んじ、終末預言も信じているクリスチャンだからだ。仮に、トランプ大統領になって米国が崩壊しようが、それは単に国家の崩壊であるだけだ。国家が悪い方向にいこうが、クリスチャンにとっては特に関係ないのではなかろうか。ただ、福音派の煽動者であるフランクリン・グラハムがバイデン支持になったらまたわからなくなるが。