株式市況/需要・供給・原油ショックが並行している暴落相場。株価暴落はトランプ政権の人災

日本市場サマリー

BOJは1002億円お買い上げ。
【日経平均株価】 18,559.63 ▼4.41% -856.43 [03/12]
TOPIX 1,327.88▼4.13%
マザーズ 599.82▼5.39%
【ドル建て日経平均】178.77 ▼4.05% -7.55 [15:00]
【ドル円】 103.65 -0.77 ▼0.74% [15:06]
【WTI原油】 31.62 ▼4.12% -1.36 [15:07]
【日経VI】50.81 +3.72 △7.90% [14:46]
東証一部出来高 2,583,520,000株 15:00

海外は、2週連続の1兆円を超える売り越し!年間累計4兆円の売越です。
海外が本気で売り越せば、日銀の1000億円の買い越しなんて焼け石に水です。

アジア市場と欧州市場

【上海総合指数】 2,923.49 ▼1.52% -45.03 [16:12]
ハンセン指数      24,309.07 ▼3.66%
Europe Stoxx 600     294.93 ▼11.48%
MSCI Emerging Markets  883.13 ↓ [3/12] 
( 52 WEEK RANGE 878.66 –  1,150.91 ) 
MSCI Intl Emerging Market Currency     1,615.49  ↓[3/11] 
( 52 WEEK RANGE 1,587.38 – 1,673.26 ) 
バルチック指数           631.00   △0.64%    [3/11] 
( 52 WEEK RANGE    415.00 – 2,518.00 ) 

期待されていたECBによる利下げは、行われなかった。ECBによる資産買入の追加購入を行うと会見を開いた。ただし、銀行への貸し出しについては実施て浮名利下げを行った。また、銀行の一部資本要件を緩和した。通常は資本として認められない劣後債や転換社債も資本に認められるとした
尚、先月の調査で 欧州中央銀行(ECB)は財務健全性について昨年調査した109銀行のうち、6行が2020年の望ましい水準に達していないと発表している。この6校から資本不足に陥る可能性が大きいだろう。 ドイツ銀行、コメルツ銀行はあやしい。

欧州中央銀行(ECB)は12日、新型コロナウイルスの経済的な影響を緩和する金融政策パッケージを発表した。債券購入および銀行への長期貸し付けプログラムを拡大する。一方で、政策金利は据え置いた。(中略)
TLTRO3は、事実上の二重金利構造をつくり出すことになりそうだ。このプログラムを通じて銀行に提供される金利は、現在マイナス0.5%の中銀預金金利を最大で0.25ポイント下回る水準となる。 

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-12/Q72ZYHDWLU6U01

ユーロストック600種は、2013年7月以来の安値となった。米国が欧州からの渡航禁止したことで、旅行株、航空株が10%を超える売り。また、原油安で欧州石油大手企業も10%を超える下落。また、イタリア10年債利回りも上昇。イタリア危機の再来。

STOXX欧州600種は過去最大の値 下がり幅を記録し、2013年7月以来の安値 。 米国は欧州からの渡航を停止すると発表した。これを受けSTOXX欧州600種旅行・娯楽関連株指数は13.15%安となった。
また、 格安航空会社(LCC)のイージージェ ットと同ウィズエアー、英航空会社ブリティッシュ・エアウェイズ(B A)の親会社IAGは13.6─15.8%下落した。
原油が一段安となる中、FTSE350種原油・天然ガス株指数は14 .92%下落した。石油大手のBPとロイヤル・ダッチ・シェルは13. 3%と15.5%それぞれ値を下げた。
イタリア10年債利回りは1.88%近辺まで約60ベーシスポイント (bp)上昇し、昨年7月以来の高水準を付けた。1日の上昇幅としてはユーロ圏債務危機が最悪の状況にあった2011年以来の大きさとなる見通し。
現在は7月までに1 0bpの利下げが実施される確率が80%以上との見方にとどまっている。

https://reut.rs/2IGLbPB

当ブログでは、コロナウイルスの感染者数が欧州で500人超えたあたりから、火種は欧州からではないかと予測していました。好調な米国経済と違って、コロナウイルスパンデミック前からリセッション突入していたからです。
遂に火を噴きそうな話がでてきました。2021年まで、早ければ数カ月以内に欧州で債券支払いや借り換えが必要になる数100社の債務は総額が1000億ドルに上ります。2012年以来のハイイールド債券の債券危機( ゚Д゚)
ECBは企業が借りやすくしやすいように流動性を供給はしていますが、借りても利払いやら債務を返済できる見込みがない利益ならいずれは倒産するだろうし、第二の「灰色のサイ」になりますな。中国よりも深刻なのは、利下げで対応できないことです。コロナウイルスによる需要・供給ショック、ロシアが仕掛けた石油ショックに続き、金融クラッシュは欧州から起きるでしょう。注目です。

Hundreds of high-risk companies in Europe need to repay or refinance nearly $100 billion in the coming months, a prospect that becomes more daunting by the day amid the relentless collapse in credit markets.
(中略)
As a result some companies are abandoning plans to raise debt on the bond market and exploring alternatives such as direct lending. One measure of high yield debt risk in Europe jumped to its highest level since 2012.

https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-03-12/a-100-billion-debt-wave-to-crash-over-europe-s-riskiest-firms

米国市場サマリー

【NYダウ】 21,200.62 ▼9.99% -2352.60 [03/12]
(52週最高値  29,568.57 52週最安値 21154.46  ) 
NASDAQ     7,201.80    ▼9.43%
(52週最高値     9838.37   52週最安値 7194.67 )
S&P500         2,480.64  ▼ 9.51 %
(52週最高値   3,393.52 52 週最安値 2478.86) 
ラッセル2000種指数   1,122.930 ▼11.18%
(52週最高値  1,706.175   52週最安値 1,121.717 )
【VIX恐怖指数】      75.47   ↑ 2008年10月以来の高値
Fear & Greed Index  2↓(Extreme Fear) 
【WTI原油】      30.92 ↓ 5:53JST
【NY金先物】  1,578.10 ↓  5:53JST
ドルインデックス:  97.48 ↑  5:56JST
米国30年債利回り:1.437↑    5:56JST
米国10年債利回り:0.810↓     5:56JST  
米国 2年債利回り:0.471↓     5:56JST
米国3か月債利回り:0.35↓     5:56JST
ブルームバーグ商品指数トータルリターン    141.1066 ▼3.13%
( 52 WEEK RANGE 139.991 – 174.8420 )
フィラデルフィア半導体指数 1392.11▼10.69%
NYFANG:IND     2,822.033 ▼10.05%
( 52 WEEK RANGE   2,244.232 – 3,921.452 )
S&P/LSTA U.S. Leveraged Loan 100 2,143.04 ▼1.02%   [3/11]
(52 WEEK RANGE  2,143.04 – 2,287.33 )
BofAML US High Yield Master II Effective Yield 7.34↑[3/10]
BofAML US Corporate BBB Effective Yield 3.17↑[3/10] 
BofAML US High Yield CCC or Below Effective Yield 14.28↓ [3/10]
Volume on U.S. exchanges was 18.54 billion shares, compared with the 12.49 billion average over the last 20 trading days.
AAPL 248.23▼9.88% (52週最高値  327.85 52週最安値153.66 )
AMZN 1676.61▼7.92% (52週最高値 2185.95 52週最安値1566.76 )
GOOG 1114.91▼8.27% (52週最高値 1529.63 52週最安値1025.00 )
MS   139.06▼9.46% (52週最高値 190.70 52週最安値102.17 )
NVDA 216.31▼12.24%( 52週最高値 315.41 52週最安値131.00 )
FB   154.47▼9.26% (52週最高値 224.20 52週最安値143.43 )NFLX  315.25▼9.91% (52週最高値 392.92 52週最安値252.28 )
TSLA  560.55▼11.62% (52週最高値 968.99 52週最安値176.99 )
※52週最高値・52最安値更新:2020/03/05時点

本日のFed watchと米経済指標

昨日のトランプ大統領の国民向け演説での大失態を受けて株価は暴落していますが、FF金利先物による予測は0-25BP(100BPの利下げ!)だそうです。
つまり、ゼロ金利が織り込まれていての暴落です。
好調な2月の米消費物価指数米新規失業保険申請件数を無視しましたな。

予期せぬ災害のコロナショックから、トランプ政権による人災へ

当ブログでは、昨日朝の段階で、トランプ政権は議会との交渉に失敗していると言及していました。残念ながら、日本のメディアはいずれも米連邦議会の動向を定期的にウォッチしていません。邦訳されているブルームバーグ、ロイターも貴重なメディアですが、連邦議会の動きについては乏しいのです。
こうなると、ロイターUS版、ブルームバーグUS版、The Hill 、Politicoを読むしか道はありません。英字メディア読めないとアウトですし、どの議案はどの委員会、どの委員長に着目すべきか見当がつかないはずです。
もしくは、当ブログを熟読することが近道になるはずです(^^$

日本時間で、昨日の19時に、トランプ大統領ツイッターで「ナンシー・ペロシ下院議長は、突然、給与税減額はきにいらないと言ってきた」と発言しました。これは嘘です。トランプ政権が、給与税減税を発言した時から民主党は難色を示していました。

シューマー上院院内総務は、民主党として大統領に非常事態宣言を出すとともに、400億ドルの緊急財政出動と使い道を求めていました。確か、大統領演説前に発表していた気がします。極めて迅速にまとめたと思います。米民主党って危機の時のこういう対応は早い。というよりも、米民主党は富の再分配を促進し、共和党は富の再分配に及び腰になっているから当然といえば、当然。更に大統領選挙前はかなり躊躇することが2007~2008年にかけても同じでした。
余談ですが、ナンシー・ペロシは、リーマンショックの時も議会側としてキーマンの1人でした。元ポールソン財務長官によると、彼女の政治の駆け引きや匂いをかぎ分けは秀逸だそうです。たぶんペロシの頭の中には、2008年危機をキッカケに民主党が勝利したように、そのシナリオを描いているでしょう。

大統領演説後に、ペロシ下院議長とシューマー上院院内総務はダメだししてますw

私が、昨日の大統領演説を聞いていて致命的なミスを犯したと思ったのが、「議会に予算を求めている」と待ち姿勢を続けたことです。
明らかに議会と決裂しています。議会との交渉に失敗したと認めて、あるいは、議会承認を得るには時間がかかりすぎると認めるべきでした。大統領による権限で、非常事態宣言をだして何か策を打つべきでした。
トランプ政権が何かだした策といえば、欧州等からの入国制限でした。石油価格戦争が突入しているタイミングで、この対策だけ出せば航空需要を更に減らして原油価格下落が進みます。昨日は、トランプ大統領演説で原油価格がさらに下落しました。原油価格戦争で、ホワイトハウスはなんとかしようとしているようですが、この策だけ出すのはおろかすぎます。

今日になって、スタフォード法に基づく非常事態宣言を出そうかと検討しているようです。遅いってば。
しつこいですが、現トランプ政権には危機を防げて、議会と交渉できるような元ポールソン財務長官や元ガイトナー財務長官のような人材がいません。危機を乗り越えられません。昨日の米国株式相場からは、完全なるトランプ政権の人災です。ブラックマンデーの再来を招いたトランプ政権と、後世に語り継がれることになるでしょう。

The president indicated to reporters that using an emergency declaration under the Stafford Act was under consideration, but would not say definitively whether he would sign it on Thursday.
“We have things that I can do. We have very strong emergency powers under the Stafford Act,” he said during an Oval Office meeting with the Irish prime minister. “I have it memorized practically as to the powers in that act, and if I need to do something I’ll do it. I have the right to do a lot of things that people don’t even know about.”

https://thehill.com/homenews/administration/487243-trump-weighing-potential-emergency-declaration-for-coronavirus

そろそろ焦り始めたのは、共和党幹部ではないかと思っています。トランプ大統領をよいしょしている取り巻きのミッチ・マコネル共和党院内総務、グラム議員はリーマンショックの時にも議会側の重要人物として登場します。
当研究所としては、トランプ大統領がバイデン大統領候補なら確実に負けることになると思います。

次の大幅下落は、トランプ大統領政権メンバーから新型コロナウイルス感染者がでた時でしょう。つい最近、会談があったブラジル大統領の側近は新型コロナウイルス感染したと速報がありました。来週くらいには誰か発症しそうです。


ロシアとサウジアラビアの原油価格戦争は長引く

原油価格戦争ですが、サウジはMBS王子の自尊心によって仕掛けましたが、ロシアは秀逸にタイミングを待っていたのでロシアは長期戦を覚悟しています。ロシアの希望は、サウジからの投資か、米国制裁を解くことなので実現は厳しいです。サウジMBS王子が、ごめんね~といってロシアと交渉するか、お互いの消耗戦になるしか道はありません。

ロシアの大手石油企業の生産コストをみると、1バレル12ドル以下。つまり、15ドル~20ドルの価格戦争に持ち込むこともロシアは辞さない構えのようです。
15ドルなんかに落ち込んだら、米シェール関連企業が破産しますがな。そしてシェールオイル関連企業の債券が組み込まれていたCLOとか火を噴きますな♪
米石油大手の2社も大きな減益になり深刻なことになるでしょう。S&P500に組み込まれているエネルギー企業は11%です。
欧州にも石油大手企業はそれなりにいるので、欧州は更に火種を抱えますね。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-03-12/russian-oil-producers-are-ready-to-survive-flood-of-saudi-crude