コロナショック(と命名されたようだ)の危機を再整理したい。中国で起きた経済的な打撃をまとめてみたい。まずは、どういった現象が起きたかを整理。
- 湖北省、特に武漢が市ごと閉鎖された。工場再開はまだ至っていない。
- 中国の主要都市(北京、上海)などでは店舗営業休止を余儀なくされた。
- 封鎖されている都市に帰宅できない事態が生じた。
- 海外から入国禁止を余儀なくされた。
- 香港では政府機関の閉鎖、中国との国境がほぼ封鎖。
- 香港では学校が4月中旬まで再開しない。上海の学校もオンライン授業のまま。
経済的な打撃としては、
- サプライチェーンが途切れて、製造業では世界中に影響を与えている。
- 中国人観光客がこないことで、航空業、観光業、小売業が打撃を受けた
- 操業停止しているので、工場も小売業も収入が途絶えている。利下げと強力な融資で生き延びようとさせている。
- 春節から仕事に戻ったが失業に直面した人がでてきている。収入が途絶える可能性がある。
中国を除くと、3月3日時点の感染者数は以下の通りだ。
恐怖に感じるのは、欧州、米国、日本、東南アジアで一斉に感染拡大しつつあるということだ。つまり、以下のような事が、世界中で一斉に起こったら、人の移動、モノの移動がほとんどなかった時のような経済に陥るということではなかろうか。
- 世界にある工場が、感染拡大させないように工場稼働を停止しはじめる
- 世界にある小売業が店を占める。米国Amazon freshは急激な注文にすでに遅延が発生しているので、急激な注文はさばききれそうにない。
- 世界中でモノを運ぶ人が、感染拡大させないために物流を停止したら、モノが届かない。
- 観光客が来なくなったら、小売業と観光業が壊滅的になる。
- サービス業(非製造業) が米経済の約3分の2を占めるサービス部門がサービス停止に陥ったら壊滅的になる。 既に2月は弱い指標で懸念されている。
- 政府が非常事態宣言を出さなくても、欧米では、ストライキを起こす可能性がある。実際に、ルーブル美術館のストライキで観光客が入れない事態が発生した。
これは恐怖である。そこまできたらリーマンショックどころの騒ぎではないのではなかろうか?
国民からウイルスへの脅威を避けようとすれば、外出禁止令になる。
しかし、外出禁止令まで持ち込むと、経済が立ち行かなくなるのだ。そうすると、あるていどは経済を動かさなくてはいけない。
だとすると、どこまで動かすかの匙加減が重要になりそうだ。これは、各国の政権の手腕が問われることになる。シンガポールと中国みたいな独裁国家なら政府の一任で決定できるが、米国のような強力な権限をもつ議会が存在すると、予算配分まで見通した判断が遅くなる可能性がある。
ウイルスに関して正確に何をすれば防げるか解明されていないので、対策がとりにくいのもあるのだろう。
そもそも未知のウイルスという驚異から守ろうとする行動と、経済を停滞させないというのは両立しない。中国みたいに無理やり復活させようとして、地方政府が電力データチェックなどしはじめると、企業は電気だけ使用して、生産ストップしたままということもある。また、日本で一度感染した人が再感染しているという事例も発生するし、いまだ発症していない人が誰かに移す可能性もでてくる。