米議会12/18-23:下院は1/9まで休会。つなぎ予算期限は1/19と2/2

上院は国境安全法案に関して交渉を進めているため、シューマー多数党上院院内総務は下院もワシントンに残るように求めていましたが、下院は予定通り休会に入りました。

①つなぎ予算の期限は1/19と2/2

前回のブログ記事の繰り返しになるが、年度予算は12の法案をパッケージにして審議・可決されている。

まず、大前提として年度予算は各委員会から提出される12の法案を1つのパッケージにして「オムニバス法案(Omnibus Bill)」として審議・可決されてきた。これは別に規則・法律で決まっているわけではない。それぞれの歳出法案ごとに審議を実行しようとすると、審議が難航して可決できないことさえあるため、1990年以降はオムニバス法案で進めてきただけだ。もっとも、この進め方こそが債務を増加させたと下院共和党フリーダムコーカスなどは主張している。それぞれの予算について細かい審議が本議会でできなくなっていることに不満をもっている議員は多いのはその通りだ。法案ごとに交渉したいのだ。

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そのパッケージの中身である12の法案のそれぞれの進捗は以下の通りだ。そして、各法案ごとにつなぎ予算期限が異なるため、期限切れとなった場合は、すべての政府閉鎖ではなく、該当する行政機関が閉鎖となる。例えば、農務省関連の予算は1/19が期限のため期限が切れた場合は農務省関連の政府閉鎖となる。
下院議会は11月14日の週で可決したのを最後に、交渉は続いているが審議にむけたスケジュールがでてこない。一方で、上院は12法案すべて委員会採決は済んでいるが、本議会での採決は進んでいない。

参照元:https://www.crfb.org/blogs/appropriations-watch-fy-2024

「また、つなぎ予算を可決すれば済む話」ではあるのだが、問題はジョンソン下院議長だ。ジョンソン下院議長は11月時点で「次の期限でも、つなぎ予算を進めることはない」と宣言している。もちろん、政府閉鎖を起こす直前や起こしてから考えが変わることはあるだろうし、彼自身の考えは変わらなくても議員たちから強い要望があり動くこともあるだろう。
ジョンソン下院議長は超党派で動いた経験に乏しいため、正直どう動くか読みにくい。また、シューマー多数党院内総務は、交渉に長けている人物で有名だがさすがの彼も動きにくそうだ。
また、ジョンソン下院議長の7 Core Principles of Conservatismを読む限りは、財政規律を守るためなら妥協せず政府閉鎖も辞さないように私は思っている。また、ジョンソン下院議長へのドネーションは共和党議員内ではトップ10には入らず、AIPACとLA州の石油・天然ガス業界だった。献金者の意向を強くきくということはしてきていない。最も、今回は共和党下院議長としして総選挙を迎えるので状況は変わるかもしれないが。

また、Fiscal responsibility Act of 2023にある通り、年度予算が決まらないと一律1%の予算削減が待っていることも忘れてはならない。

何度か書いているように今年度は Fiscal responsibility Act of 2023で決められた通り、「1月1日までに制定されない場合、裁量支出は現在の2023年度より強制的に1%削減」が待っている。
ちなみに、 CRFBの詳細を見る限りは、OMB(行政管理予算局)が削減可能な範囲を算出して 4月30日までに適応をうけることになる(引用元:CRFB
ジョンソン下院議長は“There may be some conditions put on that, perhaps that 1 percent spending cut across the board instead of becoming effective in April,” なんて発言している(引用元:The Hill)。非国防費・国防費の1%削減を容認しているとしか思えないが…。

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<12月27日追記>
Fiscal responsibility Act of 2023の 「1月1日までに制定されない場合、裁量支出は現在の2023年度より強制的に1%削減」 についてはOMBのガイダンス待ちとなっている。バイデン関係者によると、1月1日の期限に間に合わなかった場合、4月30日以降、国防・非国防プログラムへの1%の削減(2023会計年度の資金レベルから)が実施されると考えているようだが、1年間つなぎ予算にした場合はどうなるか、など決まっていない要素が大きい。なにしろ初めてのことなので、しょうがない(引用元:The Hill


②国境安全法案とウクライナ・イスラエル支援

上院は、共和党が求める国境安全の法案をめぐり日曜日も交渉を続けている。ウクライナ・イスラエル・インド太平洋への軍事支援をするなら、国境安全確保の法案とパッケージにすべきというのが共和党の要求だ。
まだ交渉合意の枠組みさえできていない状況で、マコネル少数党上院院内総務は先週の時点で「クリスマス前は無理だと思う」なんて発言している(引用元:The Hill

バイデン大統領は「国境安全について大幅な譲歩をしてもよい」なんて発言したが、 民主党ヒスパニックコーカスは、ウクライナ・イスラエル支援で国境安全法案について譲歩することを警告している。あわせてバイデン大統領の「大幅に譲歩してもよい」と発言したことも批判。 共和党が要求する国境安全(Secure the Border Act of 2023)は、国境の人員増強だけでなく、国境の壁の建設再開、移民の亡命制限、移民の家族収容の復活などを要求するため民主党内からは激しく反発されているの総選挙前にはかなり厳しいと思われる(引用元:Roll Call