2022年も穀物価格の上昇

来年の大豆・小麦・トウモロコシの作付面積は上昇するようだ。穀物価格が少しは和らぐと思いきや、そうともいえないようだ。 作付面積が決まれば、あとはどれだけ収穫できるかになってくる。天候(降雨量・日照時間)が重要になる。

調査会社IHSマークイットは12月、大豆、小麦、トウモロコシの2022年の作付面積が約2億3000万エーカーと、21年の過去最高水準からさらに200万エーカー増加するとの予想を示した。

https://jp.wsj.com/articles/grain-prices-could-be-more-volatile-after-jumping-in-2021-11640652471

作付面積が決まった後の穀物価格の変動要因は、以下にまとめることができる。
特に、近年は①で大きく価格が動く状況が続いている。
①主要産地の天候
②需要国の買い付け状況(主に中国)
③人件費・肥料価格
④エネルギー価格の上昇
⑤関税や、政治リスク(特に小麦)

まず、①主要産地の天候について。
大豆・トウモロコシの輸出大国は、ブラジル、米国、アルゼンチンだ。
これらの気象状況で、収穫量がまず変わる。
12月の時点で、ブラジル南部、アルゼンチンの一部では、ほぼ雨が降らない状況で干ばつが続いている。今週末にかけて雨が少し降るかもしれないが、引き続き厳しい干ばつが続くとされている。

But parts of central and southeastern Brazil may see some “limited relief” from rain later this week, Commodity Weather Group said on Tuesday. An “active rain pattern” in northern Brazil could help crop growth, but signs of “excess rain” and flooding concerns are emerging in northeastern areas, the company said.

https://www.reuters.com/markets/commodities/soybeans-corn-gain-more-ground-dry-south-american-weather-2021-12-28/

次に③の人件費・肥料価格だ。WSJによると、飼料価格は2020年の2倍近くに上昇している。窒素系肥料の主原料である天然ガス価格の上昇、肥料工場の操業不能だけでなく、今夏、中国が主要な肥料成分であるリン酸塩の輸出を禁止したことが主な上昇要因となっている。人件費は、全業界で全般的に上昇傾向が続いているので、それも一因だろう。

The rise in fertilizer costs is partly fueled by elevated natural gas prices, a key ingredient for nitrogen-based fertilizers, as well as by severe storms in the U.S. that disrupted fertilizer plants earlier this year and a move by China this summer to ban exports of phosphate, a major fertilizer component. Some farmers also blame fertilizer companies for the rising prices.
The price of phosphorus-based fertilizers ranges between roughly $830 to $920 a ton, up from between $450 and $500 a ton at this time last year, according to agricultural research firm DTN.

https://www.wsj.com/articles/surging-fertilizer-costs-push-farmers-to-shift-planting-plans-raise-prices-11639580768

一方で、大量に穀物を輸入してきた中国だが、中国政府としては輸入抑制している。 2021年4月には、中国政府は、輸入抑制に向けて飼料のトウモロコシの配合割合を減らし大 麦等の代替品を使用するようガイドラインを公表した。なんだけど、結果としてはトウモロコシ生産が増えていますと…。

中国の唐仁健農業農村相は27日、穀物の安全保障を確保するため、来年はトウモロコシの生産を安定させ、大豆の生産を増やすと述べた。 (略)
今年の大豆生産は前年比で急減。利益率の高いトウモロコシの生産が増えた。

https://jp.reuters.com/article/china-agriculture-policy-idJPKBN2J705Z

食品価格は2022年前半に5%上昇すると言われているが、果たして本当に5%でおさまるのかどうか…

米調査会社IRIによると、食品価格は22年前半に5%上昇すると予想されている。ただ、上昇率は販売業者や地域によってばらつきがありそうだ。
 菓子大手モンデリーズ・インターナショナルは最近、米国で販売するクッキーなどの商品を1月から6~7%値上げすると発表した。

https://jp.wsj.com/articles/these-food-items-are-getting-more-costly-in-2022-11640643861

米国の独占状況

ちょっと話がそれるが、基礎情報として。
米国では、大規模農家がほとんどの土地を支配しているという話。
まさに食肉業界もこの傾向が強く、特に鶏肉価格は数社によって支配的な価格になっているという話もある。

米農家の間で激化する争奪戦は、土地が少なくなったせいでもある。米農務省のデータによると、米国の農地は1950年以降に25%(3億500万エーカー)減少。さらに年金基金やヘッジファンドなどの投資家が、株式や債券の代替投資先として農地を買いあさっていることも背景にある。
 米国に今ある9億エーカーの農地を支配するのは、より少数かつ大規模な農家だ。約13%の農家が75%の農地を管理していることがデータから分かる。土地価格の上昇で、零細農家はローンの頭金や高い賃借料が払えなくなり、農家の統合・再編が加速していると農業金融機関や土地管理会社は話す。

https://jp.wsj.com/articles/u-s-farmers-vie-for-land-as-a-grain-rally-sparks-shopping-spree-11617256464

鶏肉は4社によって市場シェアの半分、豚肉は4社によって約70%、牛肉は4社によって4分の3近くの市場支配と。アーカンソー州で設立したTysonなんかは州内の鶏肉市場をほぼ独占と…(引用:Gardian)ビル・クリントン元アーカンソー州知事に対してTysonが莫大なロビー活動していたのは知らなかったですよ。

Four companies now control more than half of the market in chicken processing (Tyson, JBS, Perdue, and Sanderson), close to 70 percent in pork (Smithfield, JBS, Tyson, and Hormel), and nearly three quarters in beef (JBS, Tyson, Cargill, and National Beef), according to one recent analysis.

https://civileats.com/2021/07/14/just-a-few-companies-control-the-meat-industry-can-a-new-approach-to-monopolies-level-the-playing-field/